早くに大勢が決しラリーの後半にかけては静かな戦いとなった四輪部門とは対照的に、二輪部門は目まぐるしくトップが入れ替わる接戦が展開された。
ラリーの中盤はスカイラー・ハウズ(ハスクバーナ・ファクトリー・レーシング)が安定感を見せ、部門首位の座をキープしたが、後続とのタイム差は小さく前半戦終了時点のトップ3のギャップは、わずか13秒。また、首位から3分以内に6台がつけていた。
この接戦のなか、ステージ10以降はベナビデス、ハウズ、トビー・プライス(レッドブル・KTMファクトリー・レーシング)と日毎に首位が入れ替わった。迎えたラリー最終日のステージ14は、競技13日目も首位を維持したプライスに対し12秒のビハインドで僚友ベナビデスが続く状況でのバトルとなり、1分31秒後方に下がったハウズも含め3人のうち誰が優勝しても不思議ではない状況にあった。
そんななか始まった最終決戦では、総合2番手のベナビデスが序盤からリードを奪う。対する首位プライスはステージ中盤から後半にかけて序盤の遅れを取り戻しにかかったが一歩及ばず。55秒早いタイムで首位フィニッシュを果たしたベナビデスが総合でもプライスを逆転し、自身2度目の部門優勝を飾った。
チームメイトバトルに敗れたプライスは43秒差の2位となりこの結果、レッドブル・KTMファクトリー・レーシングはワン・ツー・フィニッシュを達成している。総合3位は最終ステージを5番手で走破したハウズで、ベナビデスからは5分04秒遅れた。
ホンダ所属時の2021年以来、2年ぶりの優勝を果たしたベナビデスは「今朝はステージの0kmから136kmまでの各キロメートル以外は、頭の中が空っぽだった」と最終対決を振り返った。
「この完全にクレイジーなダカールの最後に、しかもわずかな差で優勝できたのは信じられないことだ。また、ふたつの異なるバイクブランドで優勝したのも初めてだから、そのことをとても誇りに思う」
■TLCがクラス10連覇、日野は部門トップ10フィニッシュ
日本勢は、新型『トヨタ・ランドクルーザー・GRスポーツ』を投入したチームランドクルーザー(TLC)のロナルド・バソ/ジャン・ミッシェル・ポラト組と、三浦昂/ローラン・リシトロイシター組が四輪部門・市販車クラスでワン・ツー・フィニッシュを達成。前日にターボトラブルい見舞われたバソが総合107位、三浦が同108位(ともに暫定)で“世界一過酷なラリー”を走破し、クラス10連覇を決めた。
また、トラック部門にエントリーしている日野チームスガワラの菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組は、2年目の『日野600ハイブリッド』で前年の部門22位を大きく上回る順位でラリーを走破。部門トップ10フィニッシュ(暫定)を果たしている。

