一方、同じシカゴオートショーの会場で、今季からスバル・チームUSAのドライバーとしてGRCに参戦することとなった元WRCワークスドライバーのクリス・アトキンソンも、55号車WRX STIラリークロス・スーパーカーの新カラーリングを披露。チームメイトでこちらも元WRCドライバーのパトリック・サンデルとともに全12戦のシーズンに挑む。
GRC向けにバーモント・スポーツカーが開発したWRX STIラリークロス・スーパーカーは、マシンを共同開発してきたSTIが今季から技術支援を拡大。580psを発生する2リッター・ボクサーターボは600psオーバーを目標にし、車体側でも対接地、対車両のコンタクト強度を高める改良が施される。
それに先駆け、STIは1月末に埼玉県の本庄サーキットでGRCマシンの開発テストを敢行。昨季のクリス・アトキンソン車を国内に初めて持ち込み、新井敏弘のドライブでデータ収集を行った。
昨年最終戦のロサンゼルス戦にスポット参戦した経験を持つ新井は、GRC車両について「ひとことで言えばWRカーに近いフィーリング」だと語る。
「量産車ではブレーキング時のノーズダイブを抑えるアンチノーズダイブジオメトリーと加速時にリヤの沈み込みを抑えるアンチスクワットジオメトリーの採用が今や常識ですが、WRカーやGRCマシンではとくにフロントは採用していません。ブレーキング時にフロントをパタンと縮めてフロントタイヤの荷重を大きくして、グラベルでもロックしにくくしている。リヤはエンジニアによって異なるみたいですけどね」
技術規則上、電子制御でのローンチコントロール等は使用不可となり、スタートを決めるには最適なトルク特性が求められ、今回のテストではそのマッピングも複数試された。
「スタート時には半クラッチを使いながらの微妙なアクセルコントロールも必要。タイヤもワンメイクで、サイズは235/45R17とパワフルなマシンにしてはプア。スタート時はもちろん、コーナリング、ブレーキングとドライバーの技量によるところが大きいので面白いですよ」と新井。
VWビートルや北米ホンダのシビック・クーペを相手に、どんな戦いを見せてくれるか。開幕戦は4月29日のテネシー州メンフィスでのイベントが予定されている。




