そんな初の試みとなった土曜予選は、上位3チームがいきなり獲得ポイントで並ぶ白熱の展開となり、最終的にはコース上に設定された“コンチネンタル・トラクション・チャレンジ”と呼ばれる区間最速タイムを記録した順で決まることに。
結果、アクシオナ・サインツXEを最上位に、練習走行で最速だったヴェローチェ、昨季王者のX44ビーダ・カーボン・レーシング、北米の雄No.99 GMCハマーEVチップ・ガナッシ・レーシング、そしてQ1の4位から挽回で滑り込んだRXRがファイナル進出となった。
男女ドライバーがスイッチゾーンで交代を義務付けられる決勝では、まず好発進を決めたアクシオナ・サインツXEのエクストロームに対し、直後のコーナーでインサイドを守ったRXRのヨハン・クリストファーソンが先行。さらにその背後から、アウトサイドで車速を乗せたヴェローチェ・レーシングのハンセンが2番手に浮上するなど、WorldRX世界ラリー選手権経験者たちがスタートから激しい攻防を繰り広げる。
一方、4番手で上位3台を追ったX44のフレイザー・マッコーネルは、技術的問題からコース上でマシンストップ。今季セバスチャン・ローブに代わって起用されたデビュー戦で、無念のリタイアを喫することに。
団子状態でスイッチゾーンに飛び込んだ上位3台は、RXRのミカエラ-アーリン・コチュリンスキーが首位を維持し、ヴェローチェのテイラー、アクシオナ・サインツXEのサンズの順でチェッカー。しかしRXRの車両は「黄旗区間での速度超過」を取られ、最終的に136秒のタイムペナルティにより3位に後退。初年度はそのRXRでチャンピオンを獲得しているテイラーが、ヴェローチェ・レーシングにシリーズ初優勝をもたらした。
「チームの全員が最初から物事にクリックし、開発し、改善していると思う。(昨季最終戦の)ウルグアイから非常に良いレベルでスタートすることができた。今回もすべての側面から最高のものを引き出すことに非常に長けていたわ」と、わずかな参戦休止期間を経て移籍後初勝利の喜びを語ったテイラー。
その僚友を務めるハンセンも「いい感じだね! サウジアラビアに戻ってきて、この新しいチーム、モリー、そして僕のキャリアを変えるようなアクシデントに見舞われた国で、シリーズ初勝利を収めるのは素晴らしいこと」だと、昨季開幕は大クラッシュによる救急搬送で戦線離脱を余儀なくされていたハンセン。

