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投稿日: 2023.05.12 18:24

開幕勝者パッドンや王者ヤレーナを降し、フランスの名手ボナートが舗装路制圧/ERC第2戦


ラリー/WRC | 開幕勝者パッドンや王者ヤレーナを降し、フランスの名手ボナートが舗装路制圧/ERC第2戦

 同じく予選ステージのクラッシュで22番手出走だったチャンピオンも、SS2ではベストを叩き出し3番手に浮上するなど、路面状況改善の恩恵を受けた。

「最初のいくつかのステージでは猛烈にプッシュしたよ」とMRF装着のヤレーナ。「湿ったコンディションで滑りやすかったが、確かに路面は僕らにとって少し乾いていく方向だった。そこで僕らは周囲にいるライバルたちより速かったんだ」と振り返った王者だが、SS3終了時には首位に立ったものの、木曜スーパーSSで「ルート未完走」との判定が下り、10秒が加算されるハプニングも経てのカムバックとなった。

 一方、ヤレーナとは対照的にピレリを装着したパッドンのヒョンデは、5番手のスタートポジションから滑りやすい路面に苦戦し「湿ったセクションで追いつかれて大きく自信を失った」とコメント。

 サービスでアンダーステア改善の策を施すと、SS7では3番手、SS8では最速タイムを記録したが、このパフォーマンスは「気温が上昇する中での適切なタイヤマネジメントの賜物」だと強調した。

 また2023年ERC初優勝を狙うオストベルグだったが、この日のSS3を前に右フロントのドライブシャフト破損により、実質的な挑戦権を失ってしまった。

 明けた土曜の最終レグもドライ、ダンプ、フルウエットの各セクションに加え、ところどころ霧が発生する難しい条件になるなか、4本のミディアムコンパウンドを選択したボナートが快走。最終的に全13SS中7つでベストを記録し、2位のパッドンに36.9秒の大差をつけて勝利を飾った。

「ベストを尽くしたが、クルマもタイヤも完璧だったのでとても満足している」と語った勝者ボナート。「最初のループではすべてミディアムコンパウンドを履いたが、このような天候では完璧だった」と語りつつ、SS8ではシトロエンのステージモードを有効にするのを忘れてスタート。すぐにエラーを修正して最速を記録したものの、序盤は数秒を失っていたことも明かした。

「天候次第で何が起きるかわからなかったが、ステージのすべてが濡れているわけでなくダンプな部分があると理解したから、今朝はスペアのハードコンパウンドを1本だけ持っていった。美しいラリーだし、速く走るのは簡単だ。そしてこういうときはラリーを止めたくないし、次の数日間は続けたいと思うんだよね」

 そして降雨が続いたSS8をハードコンパウンドで走行することを強いられた王者ヤレーナを抑え、初参戦で2位表彰台を得たパッドンは、当初参戦予定のなかったラリーに急きょ出場を決めたその目論見どおり、初の欧州タイトル獲得を目指して引き続きランク首位の優位を広げることに成功した。

「もっとも難しかったのは、天候が変わりやすいなかでのタイヤの選択だった」と振り返ったパッドン。

「チャンピオン争いに参加していない場合は(タイヤの決断で)リスクを負うこともできるが、あらゆる不測の事態に対応する必要があり、それは妥協を意味した。僕らは安全な選択肢を選び、午前のセカンドステージでは大幅にタイムを失った。正直に言うと、今日はとにかくヨアン(・ボナート)を追うことではなく順位を維持できて満足だった。クルマは完璧だったし最善の結果だよ」

 今季も全8戦中有効7戦で争われるERCは、早くも5月19~21日に第3戦『オーレン・第79回ラリー・ポーランド』を開催。ふたたびグラベル(未舗装路)ステージでの勝負が待ち受ける。

「僕は間違いなく妻を愛しているが、同じようにタイヤとクルマも愛しているんだ(笑)」と上機嫌で答えた初日首位のヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)
「もっとも難しかったのは、天候が変わりやすいなかでのタイヤの選択だった」と振り返ったパッドンは2位
すでに30代を迎えた苦労人の”Flying Frenchman”が、実力者を撃破してのターマック制覇を成し遂げた


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