オリバー・ソルベルグが初開催戦を制圧。ヘイデン・パッドンも4戦連続2位の安定感/ERC第5戦
「本当に間抜けだよ」と、開口一番に懺悔したオリバー。「コーナーが来てターンインするけど、そこでフロントがアウト側へ逃げだしてしまう。 こんなに速いと怖いったらありゃしない……」
一方のパッドンも「オリバーには逃げてほしくないから、プレッシャーをかけ続ける必要がある。 明日は戦いに出て、自分たちに何ができるかを確認するつもりだ」と、選手権優先の考え方を軸にしつつ、勝負を掛ける姿勢も見せる。
その言葉どおり有言実行のプッシュを見せた36歳のパッドンは、明けた土曜午前のSS9、SS10と連続ベストを叩き出し、それぞれ7.4秒、6.9秒とオリバーのマージンを削っていく。
しかし「自信はない」と語っていたオリバーも反応し、SS11では0.3秒差でステージベストタイムを奪い返すと、続く“コリンズ・クレスト”を含むWRCでもおなじみのステージでは、ジャンプも成功させベストタイムを記録。午後のループでも週末10回目のベストを奪ってみせる。
最終パワーステージこそパッドンに譲ってボーナスの5点を献上したが、最終的にその差を22.5秒まで挽回する完勝劇を演じてみせた。
「ヘイデンや他の選手たちに勝つために必要なアタックのレベルは信じられないほどで、素晴らしい勝負だった」と、前日午後にはステアリングラックとの格闘も制した『ロイヤル・ラリー・オブ・スカンジナビア』初代勝者のオリバー。
「間違いなく、これは最高の勝利のひとつだ。ここは本当に本当にホームで、自宅からわずか1時間程度だし、家族全員でラリーを戦うのは素晴らしい気分だった。親友(アイザック・ライアスン)もジュニア部門で勝ったし、とても素晴らしい時間になった。今晩はちゃんとしたパーティーにしないとね!」
これで4戦連続2位を決めたパッドンの背後には、選手権も争うチームMRFタイヤのセスクが続き「この北欧の超高速ラリーで得た表彰台は、ほとんど勝利のようなもの」と、そのポイント差拡大を34点に留める活躍を演じた。
また、シリーズレギュラー勢では初日に「パワー不足」を報告してトップ10圏外に沈んでいたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)が、インタークーラーの交換で息を吹き返し、名物“コリンズ・クレスト”では新記録となる47mの最長不倒の大ジャンプも記録して8位までカムバック。
一方で、今季は不振が続くERC王者エフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)は、SS10のスタートから2kmの地点で右コーナーアウト側に車体を落とし、左リヤのサスペンションを損傷して戦列を去る苦しいラリーが続いている。
これで真夏のグラベル3連戦を終えた2023年のERCは、続く7月28~30日にひさびさのターマック戦となる『ラリー・ディ・ローマ・カピターレ』が待ち受ける。