最後に、非科学的ともいえる“運”について。マキネンは、4年連続チャンピオンとなった現役時代から“持っている”選手だった。可能性がゼロに近い状態から勝ったこともあれば、リタイア後に大逆転でチャンピオンとなったこともある。
同時代には他にも同じぐらい速いドライバーはいたが、マキネンは彼らよりも強い運に恵まれていた。そして、チーム代表となった今も、いろいろな部分でその勝負強さが見て取れる。
2戦連続でトップを走っていた選手がクラッシュし、順位が繰り上がったことを見ても、やはりマキネンは何かを持っているようだ。ラリーが勝負ごとである以上、運の強さもまた大きな武器である。
勝つ力を持ったチームとマシンを作り上げ、それを強運で良い方向へとぐいぐい牽引するマキネンの存在は大きい。もちろん、今後チームはさまざまな試練と向き合うことになるだろう。
ヤリスWRCもまだ完成の域には達しておらず、各部にさらなる改良が必要なことは明らかだ。しかし、開幕2戦ですでに充分な戦闘力を示したのだから、今後に対する期待はさらに高まる。
トヨタが世界の頂点に舞い戻るタイミングは、当初の予想よりもずいぶんと早まるかもしれない。