「最初の3台のリズムはとても良いし、速いね。このクルマで競技に出るのは2回目だし、約2カ月前の初ドライブ時の手応えが蘇って新鮮だ」と語ったバッソ。「今日のポジションには満足しているし、良い仕事ができた。明日は難しいだろうが、我々もプッシュし続けるよ」
同じく快調なペースで4番手にいたパッドンも、SS6の高速左コーナーでワイドになり、道を外れた際の衝撃で右リヤのトーコントロールアームを損傷。SS7までに急きょ修理を余儀なくされ、総合でも6番手へと後退する。
「結局、応急処置ではアームの調整がうまくできなかったから、最後のドライブは興味深いものになった。ダメージを最小限に抑えようとしたが、今はポイントを最大化したいね」
さらに今季2勝でパッドンの対抗馬としてタイトル戦線に浮上するMRFのマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、SS4スタートから1.7kmのところでハイスピードのままコントロールを失いロールオーバー。クルーに怪我はなかったものの、道路脇の縁石や標識に接触して薙ぎ倒したファビアはルーフを下にして停まり、この時点でラリーからのリタイアを余儀なくされた。
最終日の日曜も3ステージをループする85.52kmの舞台が用意されると、さらにベストを重ねたクルニョーラはラリーの全13SS中8つのベストを奪う速さで快走。その一方でパワーステージ手前のSS12では、アルベルト・バティストーリを筆頭にフィリップ・マレシュ、シモーネ・テンペスティーニやメベリーニ、カンペデッリらがポイント獲得の機会を奪われることに。
その不運なドライバーのなかにはバッソと2番手争いを繰り広げたボナートのシトロエンも含まれ、大ベテランは2位に返り咲くとともに、SS9のベストなどでポジションを回復したパッドンが続くポディウムとなった。
「毎年、ERC登録のドライバーと戦うのは楽しみだ。なぜなら、とくに今年はレベルが高く、どの瞬間も挑戦だったからね」と23.1秒差で勝利し、今季イタリア選手権の全勝記録も更新してタイトルを得たクルニョーラ。
「スタート前には、僕の焦点はイタリア選手権に勝つことだと言ったが、こうしてラリーに勝つことはとても特別なことだよ。とても幸せだし、チーム、シトロエン、ピレリに感謝している」
早くも残り2戦、有効7戦で雌雄を決するチャンピオンシップも大詰めを迎えた2023年ERCは、続く8月18~20日にこちらも名物ターマック戦の『バルム・チェコ・ラリー・ズリン』が争われる。


