更新日: 2023.09.20 11:25
マクラーレン撤退のなか、選手権首位サインツ陣営とハミルトンのX44が勝利/エクストリームE第7-8戦
これで創業者ブルース・マクラーレンと同郷のニュージーランド出身ギルモアが戦線離脱となり、チームはシリーズのプロトコルに沿って”チャンピオンシップドライバー”のタマラ・モリナーロを迎えることに。
地元イタリア出身で以前はXITEエナジー・レーシングの代打としてティモ・シャイダーと組み、2022年の同イベントで2位表彰台も獲得している“強力助っ人”のモリナーロは、マクラーレンの60年の歴史の中で史上ふたりめの女性ドライバーになると同時に、1981年のアンドレア・デ・チェザリス以来のイタリア人ドライバーに。
しかし、そのモリナーロも、土曜午後の敗者復活“リデンプションレース”のスタート時にJBXEのヘッダ・ホサスと接触し横転。いきなりマシン大破の憂き目に遭う。
彼女自身は迅速な救助作業で怪我なく脱出できたものの、大きく損傷したスペアシャシーはリペアが難しく、チームは現地土曜午後9時に週末からの即時撤退を確認する声明を発表した。
「ここでネオム・マクラーレン・エクストリームEチームは、2023年のエクストリームE第8戦に参戦しないことを残念に思います。土曜のリデンプションレース中にシャシーが損傷し、日曜の走行までにマシン修復が間に合わないとの判断から、我々は第8戦に参加しないという難しい決断を下しました」
「レーサーとして、レーシングチームとして、とくにイベントに向けた準備や週末のチームの努力を考えると、これは軽々しく受け止められる事態ではありません。しかし最優先事項はエマとタマラが事故の後、ふたりとも無事で元気でいることです。我々は今、チリでの最終2戦とシーズンを最高のかたちで終えることに全力を注ぐつもりです」
各ドライバー2周、合計4周勝負となった土曜の第7戦ファイナルは、スタートで先手を奪ったエクストロームが優位にレースを運び、焦点は後半2周の女性陣による勝負に。
ここでまたしてもワイパー不調による視界不良で2番手が危うくなったヴェローチェ・レーシングのモリー・テイラーに対し、オーバーテイクを仕掛けた背後のドライバーたちが次々と接触。アプト・クプラXEのクララ・アンダーソンはウェイポイント4でなんとか前に出たものの、接触によるサスペンションダメージによりスピン。
これでカール・コックス・モータースポーツのリア・ブロックが2位を得たかに見えたが、彼女もまたテイラーと接触したことでサスペンションに問題が発生し、最終ラップのウェイポイント7でコースアウトを喫してしまう。
最終的に、首位のライア・サンズから42.766秒遅れで3輪走行のクララ・アンダーソンが2位で戻り、自身のスティントの大部分で視界がなかったにも関わらず、モリー・テイラーが奇跡的に3位でフィニッシュする結果となった。
そして全9台での争いとなった日曜は、前日のパワステトラブルから雪辱を期すRXRや、こちらも“視界不良”に見舞われながらレジェンドのローブが喰い下がったアプト・クプラを退け、今季からイギリスの名門カーリンが運営を引き継ぐX44が、シーズン2勝目を手にした。
続く2023年エクストリームEの第9-10戦は、先のネオム・マクラーレンXEのステートメントにもあったとおり、すでに開催実績のある南米大陸はチリのアントファガスタにて、12月2~3日に『Copper X-Prix』が争われる。