GTEアマクラスで最後レースウイナーとなったミシェル・ガッティンは、姉妹車60号車ポルシェ911 RSR-19のクルーに同情を示した。アイアン・リンクスは、ブロンズドライバーのクラウディオ・スキアボーニが体調不良で走行できず、残り2時間あまりでトップ走行からリタイアせざるを得なかったからだ。ブロンズとして、彼は2時間20分の走行が必要だった。

 ガッティンはSportscar365に次のように語った。「何が起きているのかは見当はついていました。一時はアイアン・リンクスの2台があそこにいて、とても素敵に見えました。悲しいですが、これがレースです。誰もが元気でなければなりませんが、残念ながら今日はそうではありませんでした」

 ポルシェはGTEアマ時代の初戦と最終戦を勝利で飾った。ガッティン、ラヘル・フレイ、サラ・ボビーは、2012年のセブリングでチーム・フェルバーマイヤー・プロトンが獲得して以来、メーカーとしては24回目、そしてこのカテゴリー最後の優勝を果たした。プロトンは今シーズン、アイアン・リンクスにポルシェ911 RSR-19を提供した。「私たちは歴史に残ることになりました」とガッティン。「私たちがしたことをとても誇りに思っていますが、GT3カーでさらに多くのことが起こることを願っています」

■あった“かもしれない”Dステーションの初優勝

 Dステーション・レーシングが最後のドライバー交代を行う直前、藤井誠暢は残り2時間のところでピットに戻った。チームによると、このとき約8秒のタイムロスがあったという。その後、キャスパー・スティーブンソンが26秒差からガッティンの背後に迫ったが、最後は突き放されるかたちで5.5秒及ばず2位でフィニッシュした。

 25号車アストンマーティン・バンテージAMR(ORT・バイ・TF)はエンジントラブルにより、残り20分でリタイアとなった。「僕たちは追い上げていたし、表彰台も狙えた」とアハマド・アル・ハーティは語った。

 ユナイテッド・オートスポーツのオレカ07・ギブソンは、2台とも1周目のターン2での接触でフロントとリヤにダメージを負い、ヴァンウォールも巻き込まれた。テクニカルディレクターのヤクブ・アンドレアセンがSportscar365に語ったところによると、ユナイテッドは2台ともリヤデッキを交換したが、ノーズはつけたままだったという。

 アンドレアセンは、このダメージが両オレカの持続的なペースに影響したと述べた。「レース中のダメージを最小限に抑えようとした結果だ。我々にとっては難しいレースだった。(ポールシッターだった)23号車はテールを交換したが、レース後のチェックでは両方のクルマのノーズにダメージがあった」

レース終盤、85号車ポルシェ911 RSR-19(アイアン・デイムス)と優勝を争った777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング) 2023年WEC第7戦バーレーン8時間レース
レース終盤、85号車ポルシェ911 RSR-19(アイアン・デイムス)と優勝を争った777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング) 2023年WEC第7戦バーレーン8時間レース

■気づいたときには、すでに手遅れ

 ユナイテッド・オートスポーツとベクター・スポーツは、タイヤ空気圧の規定以下だったことによる90秒間のストップ&ゴー・ペナルティを受け、LMP2クラス首位の座を失った。ユナイテッドは1本のタイヤが制限値を下回っていたのに対し、ベクターは4本とも制限値を下回っていた。

 ベクター・スポーツの10号車オレカは、エンジン・スロットル・センサーの不具合が疑われるトラブルに遭遇した後、最終的に完走扱いにならなかった。

 ファン・マヌエル・コレアは、プレマ・レーシングの9号車オレカがレースの大半で表彰台争いに加わっていたにもかかわらず、LMP2での初の表彰台を逃した。「燃料セーブに少し引っかかってしまって、手遅れになるまで他のチームが燃料を節約していることに気づかなかったんだ」と彼は説明した。「(僕たちの戦略は)ベストな判断ではなかったかもしれないが、それが現実だ」

■2024年はフォーミュラEに専念。カムバックを信じるダ・コスタ

 WECのフレデリック・ルキアンCEOは、チャンピオンシップが今年、テレビ視聴者数をほぼ倍増させ、同時にソーシャルメディア上のファンエンゲージメントも倍増させたことを明らかにした。この成功の大きな要因は、WECのYouTubeドキュメンタリー番組『Full Access』の第2シーズンが40万ビューを記録したことだ。

 ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長によれば、チケットが完売した今年“100周年”のル・マン24時間レースは、10万人ものキャンセル待ちを記録したという。

 ルキアンによると、WECが2025年シーズンにモンツァに戻るかどうかは、まだ決まっていないという。来年のカレンダーでは改修が行われるモンツァに代わって、イモラが使用される予定となっている。

 アントニオ・フェリックス・ダ・コスタは、来年フォーミュラEに専念した後、将来的にはJOTAで“家族”と再会したいと考えている。「来年ここにいないことがどれほど悲しいことか……。僕はもちろん、チーム側もやる気があったのにね」とダ・コスタ。「痛いけれど、将来のカムバックのために(ポルシェの)ボスを信じるよ。(JOTAは)僕の家族だ。彼らは僕にル・マンで勝つチャンスを与えてくれたんだ」

タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEからABB FIAフォーミュラE世界選手権に参戦しているアントニオ・フェリック・ダ・コスタ
ポルシェの決定により2024年はWECを“お休み”し、フォーミュラEに専念することになるアントニオ・フェリック・ダ・コスタ

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