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投稿日: 2024.04.22 02:48
更新日: 2024.04.22 12:31

小林可夢偉が逃げ切った! ペースに勝るライバルを相手に、トヨタが雨と燃費を読み切り逆転勝利【WECイモラ/後半レポート】


ル・マン/WEC | 小林可夢偉が逃げ切った! ペースに勝るライバルを相手に、トヨタが雨と燃費を読み切り逆転勝利【WECイモラ/後半レポート】

 チェッカーまで残り1時間05分。路面が徐々に乾いてきているなか51号車フェラーリがピットに入ったが、ここではタイヤを替えず給油のみでピットアウトしていく。コース上では8号車トヨタと20号車BMWの3番手争いに5号車ポルシェが加わり三つ巴の戦いとなる。この中でもっとも早く動いたのは8号車で、残り1時間ちょうどでピットイン。タイヤをドライ用のスリックに変えてコースに戻るが、アウトラップでコースオフするシーンが見られた。トップを快走する7号車も燃料が残り少なくなったため、翌周ピットへ入ってスリックタイヤに交換して出ていく。

 その後、続々とスリックタイヤに履き替えていくマシンが現れるなか、ヴァリアンテ・アルタで99号車ポルシェがふたたびストップしたため7回目のFCYが入る。フィニッシュまで残り50分となったところでリスタートが切られ、これと同時に5号車ポルシェがピットへ向かう。7号車トヨタ、6号車ポルシェに次ぐ3番手で戻るも51号車フェラーリがこれをパス。8号車トヨタはポルシェに次ぐ5番手となった。

 残り45分で首位7号車トヨタと6号車ポルシェのタイムは8.6秒。このギャップをエストーレが削っていくが、ターン17のオーバランがあり約11秒に開く。4番手51号車フェラーリは残り40分を切った段階で最後のピットインを行いスリックタイヤに履き替え7番手でコースイン。その後イーフェイ・イェ駆る83号車フェラーリとバトルを繰り広げることに。

 チェッカーまで残り20分を切って燃費走行の7号車トヨタに6号車ポルシェがすぐ後ろにまで迫ってきた。ここから可夢偉とエストーレの直接対決に入る。しかし2番手につける6号車にはSC手順の違反による5秒加算ペナルティが決定しており、仮に前に出たとしても5秒以上リードしなければ優勝はない状況だ。最終盤まで息詰まる戦いが続いた優勝争いは結局、可夢偉が逃げ切りに成功し今季初優勝を決めた。開幕戦のウイナーであるポルシェは6号車と5号車が2位&3位表彰台を獲得している。

 トップ争いの裏では4番手争いも白熱しており、最後のピットストップから怒涛の追い上げてを見せていたアントニオ・フォコの50号車フェラーリがファイナルラップでポジションを上げて4位でフィニッシュ。追い上げられていた8号車トヨタはタンブレロでマシンがスライドし、これが勝負の決め手となってしまった。6位は20号車BMW、7位フェラーリ51号車、以下83号車フェラーリ、93号車プジョー9X8、2号車キャデラックというトップ10リザルトとなっている。

小林可夢偉が逃げ切った! ペースに勝るライバルを相手に、トヨタが雨と燃費を読み切り逆転勝利【WECイモラ/後半レポート】
トップチェッカーを受けるTOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッド 2024年WEC第2戦イモラ6時間レース

■バレンティーノ・ロッシ、母国イタリアで表彰台獲得!

 LMGT3クラスも雨で状況が一変した。前日の予選でポールポジションを獲得した92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ピュアレクシング)はスタートから快調に飛ばし、レース折り返しの3時間までほぼレースを支配していたが、4時間目に降り始めた雨のなかでの判断がこのクルマを劣勢にした。

 92号車ポルシェは降り始めの段階でスリックタイヤからウエットタイヤに交換したが、他の多くのGT3カーはスリックのまま走行を続けていた。そのなかでもとくに速さを発揮したBMW M4 GT3勢(チームWRT)が名門マンタイのポルシェを先行し、“地元の英雄”であるバレンティーノ・ロッシを擁する46号車がトップに浮上する。

 僅差のワン・ツーでレースを進めるBMW勢。残り1時間半となったところでアウグスト・ファーフス駆る31号車が僚友46号車をかわしてクラス首位に立つ。その後も2台のBMWはテール・トゥ・ノーズの接近戦を続けるが、46号車にVSC手順違反によるドライブスルーペナルティが下ったことで勝負あり。レオン/ゲラエル/ファーフス組31号車が最終盤を快走しベルギーチームにLMGT3クラス初優勝をもたらした。

 46号車はペナルティによって優勝のチャンスを失ったが、後続を大きく引き離していたため2番手の座を守りチームWRTのワン・ツー・フィニッシュに貢献。ロッシは地元イタリアで2位表彰台を獲得した。ドライ路面では圧倒的な速さを見せていた92号車ポルシェは余計なピットインが最後まで響き3位でのチェッカーに。BMW勢とは1周遅れとなった。

 同じくワンラップダウンでフィニッシュした55号車フェラーリ296 GT3(ビスタAFコルセ)がクラス4位で続き、トップから2周おくれた27号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3(ハート・オブ・レーシングチーム)が同5位。6位には佐藤万璃音がフィニッシュドライバーを務めた95号車マクラーレン720S GT3エボ(ユナイテッド・オートスポーツ)が入った。

 この他の日本勢は、小泉洋史組82号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(TFスポーツ)が姉妹車81号車に続くクラス8位。Dステーションの777号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3は10位入賞を果たした。木村武史もドライブした87号車レクサスRC F GT3(アコーディスASPチーム)は15位でイモラ・ラウンドを終えている。

 WECの次戦はル・マンの“前哨戦”スパ6時間レースだ。ベルギーで開催されるシーズン第3戦は5月9(金)から11日(日)にかけて、同国を代表するオールドトラック、スパ・フランコルシャン・サーキットが舞台となる。

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アハマド・アル・ハーティ、マキシム・マルタンとともに2位表彰台を獲得したバレンティーノ・ロッシ(チームWRT/46号車BMW M4 GT3) 2024年WEC第2戦イモラ6時間レース
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LMGT3クラスを制した31号車BMW M4 GT3(ダレン・レオン/ショーン・ゲラエル/アウグスト・ファーフス組) 2024年WEC第2戦イモラ6時間レース


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