5月11日に決勝が行われたスパ・フランコルシャン6時間レースをもって、WEC世界耐久選手権は8戦からなる2024年シーズンのうち3イベントが終了。いよいよ6月に控える大一番、第4戦ル・マン24時間レースを迎えることになる。
今季、ハイパーカーとLMGT3という2クラス構成に改められたWECは、両クラスに多くの新規参戦マニュファクチャラーを集めた。ハイパーカーでは既存のトヨタ、プジョー、キャデラック、フェラーリ、ポルシェに加えてアルピーヌ、BMW、ランボルギーニ、イソッタ・フラスキーニが新規参戦し、9マニュファクチャラー/18台が争いを繰り広げている。
これら9メーカーは、独自のハイブリッドシステム採用などが許される『ル・マン・ハイパーカー』規定と、スペック(共通)ハイブリッドを持ちLMP2シャシーをベースとする『LMDh』規定が混在している。シリーズとしては、幅広いフォーマットのマシンを受け入れて参戦台数を確保すると同時に、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)を用いて出力や車重などを車種ごとに調整することで、接戦を生み出したい構えだ。
このBoPの数値が、2024年は1戦ごとに変更されるとあり、いわゆる“三味線”(次戦以降により良いBoPを得るため、ポテンシャルをあえて隠すこと)が横行する危険性も指摘されていた。シリーズのハイライトイベントであり、6時間レースの倍のポイントを獲得できるル・マンを前にして、現場にはどんな雰囲気が漂っているのだろうか。
スパの予選で8号車が6番手、7号車が14番手に終わった翌日、決勝前の日本メディア向けのリモートインタビューのなかで、トヨタGAZOO Racingの小林可夢偉チーム代表兼ドライバー、そして中嶋一貴TGR-E(トヨタGAZOO Racing・ヨーロッパ)副会長がこの件について言及する場面があったので、彼らの言葉から現状を探ってみたい。
■「去年タイトル獲ったんだから……」という空気
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