更新日: 2024.10.23 20:46
トヨタらが関心示す水素クラスの規則作成は「まだ始まったばかり」。順調にいけば2028年から導入
WECの水素クラスへの参加を確約したわけではないが、トヨタ/TGRは水素燃焼技術を積極的に支持しており、2021年に日本のスーパー耐久シリーズにデビューしたGRカローラH2コンセプトで、他社に先駆けて水素燃焼技術をレースの世界に持ち込んだ。
このクルマは当初、気体状態の水素を燃料として走行していたが、2023年に液体水素に切り替え航続距離を大幅に向上させることに成功している。。
FIAはWECの将来の規制を策定する取り組みにおいて、気体よりも液体状態で水素を貯蔵することを優先しトヨタの取り組みに追随した。ただし2月の発表では暫定的に気体ベースのソリューションの使用を認めるとしていた。
■水素エンジン車と燃料電池車のバランスをどう取るか
FIAは最近、液体水素に焦点を当てているが、2028年のルールでは燃料電池の使用も認められており、ACOの社内プログラムである“ミッションH24”はこのテクノロジーに基づいている。
またBMWは環境上の理由から水素エンジンよりも燃料電池技術を優先すると明言しており、すでに燃料電池を搭載したロードカーをラインアップの一部に加えている。
ガソリンの代わりに水素を内燃機関の燃料に用いる水素エンジンと、水素と酸素を化学反応させて作りだした電気を動力とする燃料電池車(FCVもしくはFCEV)。このふたつのアプローチの違いについてメステラン・ピノンは、モータースポーツで燃料電池を使用するためのハードルが依然としてかなり高いことを認識しており、ルールメーカーによって両方のソリューションが同等のレベルに調整される可能性を排除しなかった。
「それはまだ決まっていない」と同氏は言う。「効率の話をすると、水素エンジンのほうが良いようだ」
「燃料電池はよりクリーンな水素を必要とし、EV(電気自動車)のすべての部品、バッテリーやモーターを必要とするため、はるかに複雑になる」
「また、燃料電池を冷却する必要があり、そのためには大きなラジエーターも必要だ。ただ、高出力を必要としないロードカーにはは適しているようだね」
「(モータースポーツでの)問題は、テクノロジーのバランスをとる必要があるのか、それとも単に最良のテクノロジーを勝たせる必要があるのかということだ」
ブーベは、最終的に勝者となる技術がもっとも多くのメーカーの支持を集めることになるだろうと述べた。「それはOEMによって推進されるだろう」
新しい規則下でのクルマのデザインについて、水素燃料タンクのスペース要件から2028年の規制では従来のふたり乗りスポーツカーから離れ、ドライバーの着座位置が中央にあるひとり乗りのクローズドコクピット・デザインが採用されるのではないかとの見方が出ている。
メステラン・ピノンはこの話題について質問された際、明確な回答はしなかったが、安全上の要求によって新しいルールがその方向に進む可能性を否定しなかった。
「あくまで個人的な意見だが、ひとり乗り(1座)のほうが安全性が高いのであれば、そのほうがいいのではないかと思う」