ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.10.31 07:05
更新日: 2024.10.31 07:16

“ハードル”高まるなか『5年目の挑戦』に慎重姿勢。Dステーション・レーシング、2025年継続参戦は「50:50」


ル・マン/WEC | “ハードル”高まるなか『5年目の挑戦』に慎重姿勢。Dステーション・レーシング、2025年継続参戦は「50:50」

 そのような状況のなか、2025年の活動に向けては今年6月のル・マン頃からドライバー/スポンサーとの打ち合わせを継続しているというが、現時点での参戦可否は「50:50」であると藤井は言う。

「必要な予算の7〜8割を集めることはできています。ですが、それが『10割』にならなければ、GOは出せません」と、あくまでリスクを避け、堅実に運営を進めたい姿勢を見せる。星野が乗らなくなった以上、藤井としてはNEXUS(星野が取締役代表執行役員を務める)からのスポンサー費用に依存する考えはない。

 2024年に向けては、苦労して確保したエントリー枠であり、熾烈なLMGT3参戦枠獲得競争に勝ち残りたいという「意地もあって」参戦を目指した。だが2025年、そして将来に向けては、レース数増加などさらなるコスト増加への懸念、またスーパーGTの活動を続けながらWECの現場をコントロールする面の負担などもあり、これまでとは違う状況に置かれている。現在チームとしてのプライオリティはスーパーGT。WECの活動は、あくまでも『ビジネスとして成立するかどうか』が2025年に向けた判断基準になっていると、藤井は繰り返し強調した。

 なお、単に金銭面だけがWECにおけるネックではないという。

「バジェット(予算)だけで言うなら、昨年もWECの年間予算をポンと出せるくらいのブロンズやシルバーのドライバーはいましたし、しょっちゅう連絡は来ていました。そういった人たちは世界中にいくらでもいるのですが、いまのWECはそれだけではなくて、速いブロンズ、速いシルバーをそろえると同時に巨額の予算が必要なのです」

 一部で『プロ・ブロンズ』と揶揄されるようなドライバーが速さを発揮し、彼/彼女らのポテンシャルがリザルトを左右する現在のLMGT3では、予選と速さの両面で優れた“戦える”パッケージを用意しなければ、マニュファクチャラーからの協力も得られにくい様子。参戦体制を作り上げるハードルは、年々高まっているのだ。

 現時点でDステーション・レーシングは、2025年に参戦を継続するとも、取りやめるとも言い難い状況で、その結果の『50:50』だという。タイムリミットが日に日に迫りつつあるなか、チームは今週末、2024年最終戦に臨む。

「バーレーンは、昨年トップ争いができたサーキット。今年は開幕戦のカタールでもポディウムフィニッシュができましたし、最終戦も表彰台で締めくくりたい」と語る藤井は、遠く日本のモビリティリゾートもてぎからチームの指揮を執ることになる。ゼッケン777のアストンマーティン・バンテージAMR GT3は、果たしてどんな形で2024年を締めくくることになるのだろうか。来季の動向とともに、注目したい。

アストンマーティン・バンテージAMR GT3
Dステーション・レーシングのアストンマーティン・バンテージAMR GT3 2024ル・マン24時間テストデー
藤井誠暢/佐々木主浩総監督/チャーリー・ファグ(D’station Vantage GT3)
2024スーパーGT第3戦鈴鹿 GT300クラスを制した藤井誠暢/佐々木主浩総監督/チャーリー・ファグ(D’station Vantage GT3)


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