ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2024.11.14 18:06
更新日: 2024.11.14 18:07

ELMSでの有終の美。トヨタとハースF1の提携を受けての強い想い【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 10】


ル・マン/WEC | ELMSでの有終の美。トヨタとハースF1の提携を受けての強い想い【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 10】

 さてここからは、先日発表されたTGRとマネーグラム・ハースF1チームとの提携合意について、僕の思うところをお伝えしたいなと思います。

 正直なところ、これまでは4輪に上がる若手ドライバーのなかに『ホンダに行けば、F1につながる』という思いがあったかと思います。

 もちろん昨年来、平川(亮)さんがF1マクラーレンのリザーブドライバーになり、僕がFIA F2に参戦ということで、トヨタ/TGRでも徐々にF1に向けた関係性が具体化していました。それが今回の発表で、これからの若い世代の子たちが『トヨタでもF1に乗れるかもしれない』と感じることができ、チャンスが広がったことがとても嬉しいです。

 僕はこれまでずっと、将来の夢を「F1です」と言ってきたましたが、正直なところ「なぜトヨタを選んだの?」と聞かれることも多くありました。

 でもそれは、僕の師匠である高木虎之介さんが言ってくださった、「速ければ、みんなが見てくれている」という言葉の影響が大きいです。

 虎之介さんからは、「俺は速さがあったから、たまたまF1というチャンスが生まれた。もちろん、F1に参戦しているメーカーにいたら可能性は広がるけど、ずっと速さを見せ続ければ、そのメーカーが活動していないカテゴリーでも、絶対に辿り着くから」という言葉をいただきました。そのとき僕は13歳で、トヨタのオーディションを受けるか、ホンダのオーディションを受けるかという、自分の人生における大きな決断を控えていました。

 結局、カート時代から支援してもらっていたこともあり、虎之介さんの言葉を信じてトヨタのオーディションを受けることにしましたが、その後もずっと「F1が夢です」「F1に行きたいです」と、事あるごとに口にしながらレースを続けてきました。

 そして今、その可能性が広がったことを感じています。今回のハースとの提携を聞いて、一番によぎったのは感謝の念でした。僕がF1に乗れるかどうかは別として、『ドライバーに寄り添ったモリゾウさんの想い』には、本当に感謝してもしきれません。

宮田莉朋
クール・レーシングから出場した2024年ル・マン24時間レース

 僕自身としては、ヨーロッパに来て以来、周りの人々が想像以上に自分の実力を評価してくれていることを実感しています。僕が「いやいや、そんなに良く言ってくれなくてもいいから」と思うくらい、ちゃんとドライバーとして評価してもらえている。

 とはいえ、今回の提携が発表されたからといって、それをきっかけに僕の周りが盛り上がるということはなくて、むしろ普通のテンションで「(いつかはF1に)乗るんでしょ?」と、周囲の方々は言ってくれます。そう言われるたびに、僕としては、どうリアクションしていいか困る言葉でもありますが(笑)。

 さて、FIA F2は残り2ラウンド、12月にカタール、アブダビの連戦が控えています。

 11月上旬のWECバーレーン戦に帯同しなかったのは、F2の残りのレースに集中するためでもありました。僕としては今できることに集中して努力を続けていくしかないですし、来年につながるレースにしたいと思っています。もう一度、環境を見つめ直して臨みたい2ラウンドなので、見つめ直したなりの結果が出るようにしたいと決意しています。引き続き応援のほど、よろしくお願いします!

【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 10】
ELMS最終戦を勝利で終えた宮田莉朋

⚫︎今月の“リトモメーター”

三刀流+moreとして世界のさまざまなサーキットを訪れる2024年の宮田選手の移動距離を、フライトマイルで計測。ご本人のアプリのスクショを公開させていただきます。【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 10】

⚫︎2024年累計
85回の搭乗
136,647マイル(219,912km)
搭乗時間:343時間57分

【宮田莉朋“三刀流“コラムLAP 10】
10月9日から、ケルン-ボン(CGN)〜ロンドン・ヒースロー(LHR)〜ケルン-ボン(CGN)〜ファロ(FAO)〜フランクフルト(FRA)、ケルン-ボン(CGN)〜ロンドン・ヒースロー(LHR)〜ケルン-ボン(CGN)


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