更新日: 2024.11.29 21:49
チームの控訴でレース結果が取り消しに。勝訴したWRT、GTWCヨーロッパ・スプリントのタイトル獲得
裁判所は判決の中で、SC下でのピットストップのウインドウに関する条項が「正しく適用されていない」というWRTの主張を認めるとともに、レッドフラッグを宣言すべきであったという意見に同意し、次のように結論づけた。
「競技規則第20.5.2条に違反してピットウインドウを開くと宣言したレースディレクターの決定が、競技者にどのように伝達されたかを考慮すると、適用されるべき規則に違反が発生したと考えられる」
また控訴裁判所は、このことと当該レースにおけるグリーンフラッグ下での走行がわずか6分強だったという事実を鑑みて、レースの結果はFIA国際競技規則の第1.1.1条に規定されている“実力と公平性”に基づいていないため、ポイントの付与は不公平であると判断した。
そのため、バルセロナでのレース1の順位は取り消されることが決定し、一度は競技者に与えられたポイントも無効となっている。
■ウインワードのチャンピオンが幻に
この裁定によってレース1のリザルトがキャンセルされた結果、チームWRTはライバルのウインワード・レーシング・チーム・マンフィルター(48号車メルセデスAMG GT3エボ)を総合チーム順位で上回り、タイトルを手にすることとなった。
レース1のポイントが差し引かれたため、ウインワードの6.5ポイントのアドバンテージはWRTの1ポイントのリードに変わっている。
なお、レース1のポイントが差し引かれても計4つのクラスのドライバーズチャンピオンは、いずれもタイトルを失うことはない。オーバーオールでチャンピオントロフィーを獲得した48号車メルセデスのルーカス・アウアーとマーロ・エンゲルは、WRTペアのドリス・ファントールとシャルル・ウィーツのペア(32号車BMW M4 GT3)を3.5ポイント差で上回っている。
WRTの勝訴に貢献したエミル・フレイ・レーシングは、ブーツェンVDSの勝利が幻となり、彼らが16.5ポイントを失いランキング7位に下げたあと、69号車フェラーリ296 GT3を駆るジャコモ・アルトーとティエリー・フェルミューレンのペアが、姉妹車19号車フェラーリのベン・グリーン/コンスタ・ラッパライネンに次ぐランキング4位に順位を上げた。
ゴールドカップでは、サンテロック・レーシング(25号車アウディR8 LMS GT3エボII)のポール・エブラード/ジル・マグヌス組がランキング2位に入り、CSAレーシングのサイモン・ガシェとルーカス・レベレを上回った。
最後に、10号車メルセデスAMG GT3エボのセザール・ガゾー/オーレリアン・パニス組がシルバーカップのクラス優勝を逃したことで、ブーツェンVDSのペアはチームWRTのサム・デ・ハーン(30号車BMW M4 GT3)にランキング2位を奪われた。デ・ハーンはスプリント・カップ最終戦を欠場したにもかかわらず、チームメイトでチャンピオンを獲得したカラン・ウイリアムズに次ぐ2位となっている。