「グッドスマイルの復帰を願っていた」とメルセデスAMG責任者。3週連続24時間レースには「胸を痛める」
──一旦はコロナ禍で滞っていた新型GT3の開発状況が非常に気になるところです。
セグミュラー:まだ正式に何年にデビューとは発表できないのだが、実際には精力的に開発が行われている。2019年末に発表となったEvoから5年が経過しているが、いまも他のメーカーと比較して戦闘力が劣っているとは思わない。したがって、次のGT3が完成するまでの間にはアップデートは施さず、現状のままで投入することになる。
──2025年には6年ぶりにグッドスマイル・レーシングがスパ24時間レースに復帰することに、日本のファンも沸いています。
セグミュラー:新型コロナウイルスの感染拡大防止策により、我々AMGは、グッドスマイル・レーシングがスパにいち早く復帰することを願っていただけに、2024年内早々の参戦表明を非常に喜ばしく思う。世界最強のGT3マシンのみのスパ24時間レースは、AMGの全チームと団結してより多くのチームがポディウムに立ち、また総合優勝を飾れるよう努力したい。
──2025年6月は前代未聞の3週連続24時間耐久レース開催となり、ドライバーもチームも本当に大変なスケジュールになりそうです。
セグミュラー:1戦だけでも充分に過酷だが、ル・マンに始まり、ニュルブルク、スパという3週連続は、スケジュールが発表されてから戦々恐々だった。とくにサポートエンジニアやITスペシャリスト等の人員の確保も必要となってくる等、多岐分野……場合によってはドライバーも不足する可能性があり、補充をしなければならないこともあるだろう。
とくにニュル24時間は、ブリティッシュGTとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のワトキンス・グレンとバッティングしており、とりわけメーカーとしても対応に追われるところだ。AMGだけではなく、ほぼすべてのGT3メーカーに関与するだけに、横のつながりで他メーカーのトップらと情報交換を何度も行っている。
ヨーロッパ三大24時間レースが一気に押し寄せる6月だが、AMGとしての優先順位はなく、この3つの24時間レースはそれぞれがまったく異なるキャラクターを持つだけに、それぞれの戦略や対策も勝利を導くカギとなるはずだ。
とくにヨーロッパではこの三大24時間レースを現地参戦することを非常に楽しみにしているファンが数多くいる。夏休みでもない6月に、3週間に渡って仕事や学校を多く欠席することはほぼ不可能な上、短期間にこれらのレースのチケット代金や遠征費の出費は非常に厳しいということも承知している。それだけにモータースポーツを愛してやまないファンが現地観戦を断念せざるを得ない状況になってしまうことに、とても胸を痛めている。
2025年の年明けはドバイ24時間からデイトナ24時間、そしてWECの開幕戦(2月)へと続くとあり、AMGワークスは束の間のクリスマスホリデーを家族や友人とゆっくりと過ごし、新たなスタートに備えるつもりだ。