ELMS第1戦バルセロナ、初のプロ・アマクラス参戦で知った別の意味での難しさ
2023年シーズンよりELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに挑戦を開始した佐藤万璃音(ユナイテッド・オートスポーツUSA所属25歳)が、4月5日~6日にスペイン、カタロニア・サーキットで開催された2025年ELMS開幕戦『バルセロナ4時間レース』に参戦。今年から自身のキャリアでは初めてとなるLMP2プロ・アマクラスに参戦することとなりました。ゴールドドライバーである佐藤万璃音、ブロンズドライバーのダニエル・シュナイダー選手、プラチナライバーのオリバー・ジャービス選手とともに、21号車での参戦です。
フリー走行ではオリバー・ジャービス選手が1分32秒895をマークしていましたが、予選はルールによってブロンズドライバーのダニエル・シュナイダー選手がアタックし、1分33秒524で5番手タイムをマーク。クラス3列目スタートとなりました。レースのスターティングドライバーも彼が務めました。

4時間の耐久レースは正午にスタートし、LMP2、LMP2プロ・アマ、LMP3、LMGT3の4カテゴリー44台が混走するレースです。佐藤万璃音がエントリーするLMP2プロ・アマクラスは、実際のサーキット上では同じ車両を使用するLMP2クラスのプロドライバーたちとも戦わねばなりません。
レースは序盤から混戦模様ではありました。コースアウトした車両を回収するために何度かVSC(バーチャル・セーフティカー)が出され、各チームはいろいろと戦略を変更しながら、4時間後のゴールを目指しました。21号車はスタートからチェッカーまで、とくに大きなトラブルもなく、ダニエル・シュナイダー選手がファーストスティントで遅れてしまった分をオリバー・ジャービス選手と佐藤万璃音で追い上げるという展開です。
レースは残り18分でVSCが出され、残り2分というタイミングで再スタート。この時点で新品タイヤを履いていたチームが一気にポジションを上げ、最後は息を飲む展開のチェッカーとなりました。21号車は総合12位、クラス5位まで追い上げたところで緒戦のチェッカーを受けました。
■佐藤万璃音のコメント
「プロ・アマクラスというのは、プロとして実際に走ってみると、とても難しいクラスだというのが正直な印象です。例えば5番手と6番手のようにレース中の順位はひとつしか変わらなくても、大きなラップタイムの差があったりするので、その差が45秒と開いたりします。そうすると44台も走っているので、追いかけているクラス5番手のマシンと自分との間に20台以上のバックマーカーや先行車が入ってしまう。これを抜いていくのは、いくら自分にペースがあってもすごく難しいという意味です」
「WECのLMGT3ではスタートドライバーが全員ブロンズですからファーストスティントでの大きな差はなかったのですが、ELMSのLMP2は精鋭のシルバー、ゴールド、プラチナドライバーが大挙して参戦しているので、実際にはクラスが異なるのに、隣を走る同じLMP2車両のプロの彼らとずっと接近戦でレースをしなければならないから、なかなか差を縮められなかったですね」
「今回のレースは、不運にもタイヤ戦略が外れました。ルール上、全部のスティントをニュータイヤで行くことができないので、ダブルスティントを挟んだり、片側だけニュータイヤを履いたりするのですが、今回はグリーンが長く続いた時に自分がダブルスティントのタイヤでペースが上がらず、ニュータイヤを履いた時にSCやFCYが連続してしまい、最後は追い上げる時間がなかったですね」
「開幕戦を終えて、クルマという部分で少し残念だったのは、エンジンの温度が想定より高くて、ピットストップ時にオイル追加が必要で、毎回2~3秒ロスタイムがあったことですね。大きな問題ではないにせよ、やはりその積み重ねで大きなディスアドバンテージになってしまいますからね」
「今回も自分はドライバーとして良いパフォーマンスを発揮できたと思います。エースドライバーとしての仕事に関してはチームからも高く評価されましたし、セーフティカーのタイミングとかが、ほんの少し違っていたら、充分勝負できる内容のレースだったと思います。とりあえず開幕戦を5位完走できたので、今シーズンを高いレベルで最後まで戦い抜いて、チャンピオン争いをしたいと思っています。皆さん、応援よろしくお願いします」