より巨大なパワーを得る点に関して、モータースポーツ用エンジンでは普遍的なツインターボにしなかった理由としてはエンジンサイズを挙げる。
「LMP1用エンジンのシングルターボはF2用と同様にVバンクの中心にあるが、それぞれのターボではその仕様が大きく異なっている。また、我々はツインターボを搭載する可能性も模索したが、エンジンサイズをコンパクトに抑えるためにはひとつの大きな過給器を備える方が最適であると考えたんだ」と説明した。
「我々はとてもエキサイティングな見通しが立ったパラメーターリストを有している。協力関係を築く新たなチームを歓迎するとともに、一緒に仕事をすることを楽しみにしているよ」

パッケージエンジンとしてジネッタLMP1シャシーに搭載されるほか、BRエンジニアリングとダラーラが共同開発した『BR1』への搭載も可能とされている『V634P1』。メカクロームでは今回の発表においてLMP1以外の活用法についてもコメントしており、その一環としてIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの最高峰、デイトナプロト・インターナショナル(DPi)用への改良も検討しているという。
メカクローム『V634P1』テクニカルデータ
※WEC 2018/19スーパーシーズン用
形式:V型6気筒シングルターボ
排気量:3396cc
バルブ数:4バルブ/気筒
ボア×ストローク:96mm×78.2mm
バンク角:95度
ターボ:180度ツインストロークタービン
ECU:ボッシュMS6.4
最大回転数:9000rpm
最高出力:650PS/7000rpm(燃料流量制限110kg/h適応時)
最大トルク:650Nm/6000rpm(燃料流量制限110kg/h適応時)
燃料噴射装置:気筒内直接噴射およびポート注入システム
潤滑方式:ドライサンプ
搭載方法:フルストレスマウント
構造体:高強度アルミニウム(クランクケース、サンプ、タイミングドライブカバー、シリンダヘッドカバー)、鋼鉄(ウエットライナー)