そして今週、アキュラARX-05のデビューウイークエンドがやってきた。テスト時よりも暖かくなっているものの、摂氏12~16度とデイトナとしてはかなり厳しい天候の下で2回のプラクティス、そして予選は行われた。
2018年の最初の公式予選、アキュラはポールポジション争いの主役を演じた。昨年でインディカーフル参戦をやめスポーツカーへと転向してきたエリオ・カストロネベスが7号車でセッション半ばに1分36秒090をマークし、タイムモニターのトップに躍り出た。そして、このラップを上回る者が出ないまま予選セッションは終盤に突入したのだ。

チェッカーフラッグが振られる直前、レンジャー・ファン・デル・ザンデのキャディラックDPiが最後のアタックラップに入った。路面にタイヤラバーがもっとも乗っているコンディションを味方につけ、彼はカストロネベスを0.007秒上回って大逆転でのPP獲得を成し遂げた。
カストロネベスとアキュラは予選2番手。惜しくもデビュー戦でのPPは逃したが、フロントローグリッドから今週末のレースに出走することとなった。初レースでの好パフォーマンスは初シーズンの好成績を期待させるものだ。
「予選ではドライバーとしてできることはすべてトライした。残念ながら0.007秒という差でポールを獲得することはできなかった。獲れたと思ったんだけれどね。悔しいね。でも、僕たちはプラクティス、予選ともに強さを見せた」
「決勝に向けては、マシンにあと少しのセッティング変更が必要だろう。予選で思い切りプッシュした結果、改善の必要な点が幾つか見つかった。僕にとって1台のマシンを複数のドライバーとシェアするスポーツカーレースは新しいチャレンジだ」
「しかし、自分にはペンスキーという強力なチームがある。IMSAには性能を調整するルールがあるが、それを乗り越えて勝利を掴むために必要なマシンの完璧な準備、セッティング能力など、チームの総合力がある。デイトナでは優勝、シーズンではチャンピオンシップ獲得と、望める最高の成績を目標に掲げている」とカストロネベスは話した。

2台目のアキュラ=6号車のエースはインディカー、F1、そしてアメリカン・ストックカーでも活躍したファン・パブロ・モントーヤ。タイムアタックは若手のデイン・キャメロンが担当し、こちらの予選順位は10番手となった。
キャメロンの記録したベストラップは1分36秒931で、PPとは0.848秒差、チームメイトとは0.841秒差だった。PPタイムから1秒以内に13台がひしめいており、2018年のプロトタイプ・クラスは前年を凌ぐ激戦になるとデイトナでの予選だけで明らかになった。そして、アキュラは2台とも十分にコンペティティブに戦うことができそうだ。
決勝スタートを明日に控え、モントーヤは、「初レースを迎えるが、マシンの仕上がり具合には満足している。エリオのペースを見ただろう? スピードは十分にある。僕らは少しブレーキに問題があってパフォーマンスが低くなっていたけれどね」
「レースではその問題も解決されているだろうから、スタートから全開でいく。ライバルたちのペースに合わせたりはしない。日曜には雨も降る予報だし、簡単なレースとはならないだろうが、優勝を目指していく。最初のレースから勝ちにいけると確信しているんだ」と語った。

カストロネベスは昨年度DPiチャンピオンのリッキー・テイラーとのコンビ。デイトナでの助っ人としては2016年インディカー・チャンピオンでスポーツカーでの経験、実績ともに申し分ないシモン・パジェノーを迎えている。モントーヤのチームもホンダのインディカー・ドライバーでデイトナ24時間での優勝経験を持つグラハム・レイホールが3人目に起用されている。