5時間が経過したときに豪雨に見舞われ、ピット内で戦略が講じられました。ポルシェのパイロットは、大半のライバルとは異なりウエットタイヤに切り替えることなくスリックタイヤでの走行を継続しました。ラップタイムではライバルに劣るものの、タイヤ交換に費やす2回のストップを省略する戦略を採ります。
この完璧な戦略が功を奏し、ウエットコンディションから次第に乾いていく途中での見事なパフォーマンスによって、スタートから6時間後にはパトリック・ピレがGTLMクラスの首位に立ちます。ピレは予定されていたドライバーチェンジまでトップの座を守りました。
交代した2015年ル・マン覇者のニック・タンディが首位の奪還を開始します。しかし、293周を過ぎた8時間後に、バスストップシケインでコントロールを失ったタンディは、コース脇の乾いていない芝生の上を高速で滑り、タイヤバリヤに激突します。
大きな損傷を受けた911号車は修理のためにピットに戻り、メカニックは直ちに作業に取り掛かります。20分後にタンディはコースへ復帰しますが、失った13周を挽回することはできませんでした。
ポルシェによる78回目のクラス優勝の夢は消えました。その後、夜間に同じ場所で2回目の衝突を起こし、さらなるタイムロスが発生しますが、いずれにせよ巻き返しを図ることは叶いませんでした。
アール・バンバー(ニュージーランド)/ローレンス・バンスール(ベルギー)/ジャンマリア・ブルーニ(イタリア)組がシェアするポルシェ911 RSR 912号車のレースは問題なく展開していました。
しかし、大きなミスはなくても首位との距離を縮めるチャンスに恵まれません。今年のデイトナはフルコースコーションも極端に少なく、セーフティカーの出動を利用する機会も皆無でした。
アメリカのレースディレクターはインシデントの発生後にセーフティカーを入れてレースの緊張感を高めるのが常ですが、2017年には21回あったコーションが今年はわずか4回でした。
IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第2戦のセブリング12時間レースは、3月17日にアメリカのフロリダ州で開催されます。
レース後のコメント
フランク=シュテッフェン・ヴァリサー博士、ポルシェ・モータースポーツ/GTカー担当副社長
「レースの準備やスタート、さらに911 RSRの性能についてもたくさんの有意義な経験を得ました。残念ながら、レース全体でそれを実践できず、期待に添えない結果に終わりました」
「不運な2回の衝突で多大なタイムを失い、その結果、好調だったにもかかわらず後退を余儀なくされました。チーム全体の活躍は目覚しく最後まで諦めることなく戦い抜きました。修理のためのピットストップは完璧で、これ以上は望めません。今日はツキがありませんでした」


