デビッドソンはトヨタとの契約を有しており、クラスは異なるもののドラゴンスピードから参戦すると同じコースで戦うことになる。また、同チームはBRエンジニアリングが開発したBR1ギブソンを使い、LMP1にも参戦するため、ここではトヨタとライバル関係となる。
そのためデビッドソンはドラゴンスピードとの契約をスタートさせる前に、トヨタとドラゴンスピードが“協定”を交わす必要があったという。
デビッドソンは「ル・マンの後は、僕は他のところへ行ってレースに出る自由がある」と語った。
「僕がトヨタとの契約下にあることは、僕自身もドラゴンスピードも尊重している。トヨタとの契約が僕の優先事項で、僕がどこにいるべきかの最終決定権は彼らが握っている」
「関係者全員による話し合いが必要になった。彼らは僕のレースをしたいという願いを理解してくれたし、(ドラゴンスピードの)エルトンは明らかにル・マンの後も優れたドライバーを必要としていた。そして最後には全員が満足のいく合意に達することができた」
トヨタとドラゴンスピードは、昨年ニコラス・ラピエールを“シェア”しており、この関係がデビッドソンのLMP2クラス参戦を実現する助けになったという。
2017年、ラピエールはドラゴンスピードからELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズに参戦しながら、ル・マンではトヨタのTS050ハイブリッドをドライブした。
またスーパーGTでKeePer TOM’S LC500をドライブしている平川亮がELMSに参戦した際に所属したチームもドラゴンスピードだった。
「彼らは全員お互いのことを知っているから、とてもうまくいっているよ」とデビッドソン。
「他のチャンピオンシップへ出場して違う場所でレースをすることもできるし、トヨタの恩恵にあずかることも簡単にできるだろう。でも自分も契約しているLMP1チームと同じコースを走るとなると、状況はもっと複雑になる」
「相手がエルトンでなければ、WECでの契約を結ぶのはとても大変なことになっただろう。忍耐と理解を示してくれた彼と、契約することを許可してくれたトヨタに感謝しているよ」
またデビッドソンはWECだけでなく、ロレックス・デイトナ24時間やセブリング12時間など、北米で開催されているIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップへの参戦も視野に入れているという。
デビッドソンは2010年のセブリング12時間ではプジョーで優勝を飾っており、アメリカン・ル・マン・シリーズの一部だった2010年と2011年のプチ・ル・マン(ロード・アトランタ10時間)では、ポールポジションを獲得している。
また2013年にはデイトナにも参戦。ステファン・サラザン、ペドロ・ラミー、ニコラ・ミナシアン、エンツォ・ポトリッキオとともに、8スター・モータースポーツのコルベットDPをドライブした。
デビッドソンは「IMSAのビッグレースにも戻りたいと思っているんだ」と語った。
「戻りたくなるんだ。ああいったアメリカでのビッグレースには引きつけられる。なにより楽しいからね」
「デイトナに1度出ただけだけど、もう1度参戦して優勝を目指したい。向こうにはレースの可能性が本当にたくさんある。適切な時間と場所を見つければいいだけなんだ」

