この状況にもかかわらず、ボーメニルはEoTでノンハイブリッド勢に与えられたパフォーマンスは、ギャップを縮めるための“ギフト”であるとコメント。そのギフトがトヨタ勢のレベルを上回るものにはならないと語った。
「最先端のリファレンスマシン(TS050ハイブリッド)が遅れを取らないようにしなくてはならない。なぜなら、ノンハイブリッド車のほうが車重が軽く、燃料も多く使用でき、空力性能にも余裕があるからだ」
「プライベーターがワークスと競えるように手助けしながら、我々が掲げている主義をすべて守ることはできない。そんなことをすれば物事を制御できなくなり、混乱を引き起こしてしまう」
「こういった考えを持たない者がいることも分かっているが、それでもレースに参戦するプライベーターにはチャンスになっている」
トヨタのテクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは、このスーパーシーズンでトヨタが優勝できないレースがあったら驚きだとし、ノンハイブリッド勢に対してパフォーマンスと燃料の面で優位性があることを認めた。
「我々が勝つのは普通のことだ。もし負けるようなことがあれば、それはニュースになる」とバセロン。
「結局のところこれが今の状況であり、我々はそれを受け入れている」
「これまでと同じレギュレーションだったら、我々にはさらに多くのアドバンテージがあっただろう。今回のレギュレーション変更で得たものはないんだ」
こう語るバセロンは第1戦スパでトヨタとプライベーターに課せられたEoTに“格差”があったことについて、「いまだ発展途上にある」と考えていると明かした。
「FIAとACOを信頼しなければならない。彼らはすべてのデータを持っているのだからね。すぐさま完全に正確なことを行うのは非常に難しいことだ」
■プライベーターからはEoTの修正を望む声も
開幕戦をトヨタ勢に次ぐ総合3位で終えたレベリオン・レーシングに所属するニール・ジャニは、第1戦終了後に「『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』(新しいトレンドはオレンジ色)というテレビドラマがあるけど、僕たちにとっては、『新しい1位は3位!』がトレンドだ」とトヨタに対する“敗北宣言”とも取れるコメントを残している。
レベリオン・レーシングはレース後のプレスリリースで、ル・マン24時間で各チームが“戦って、見ごたえあるショーができるよう”、EoTを修正する必要があることは明白だとの声明を発表した。
「ハイブリッド勢のアドバンテージが見直されないのなら、競技は魅力のないものになるだろう」とレベリオンの副会長カリム・ボウハドラは述べている。