首位を走る4号車メルセデスは、スタートから悠々とひとり旅を続けていたが、中盤にセーフティカーが導入されたことで20秒以上あった後続とのギャップを失ってしまう。それでも、ペースに勝るブラックファルコンは、その後も続いたアクシデントによる2回のセーフティカー出動に動じることなくトップを守り続け、スタートから3時間後にトップでチェッカーを受けた。総合2位には88号車メルセデスが入り、3位はレース中盤以降、1号車アウディと接戦を繰り広げていたSMPレーシングの72号車フェラーリ488 GT3が入っている。
逆転タイトルには優勝するしかなかった1号車アウディは、スタートから2時間20分を迎える直前に7コーナーで76号車アストンマーチンに仕掛けるが、2台は接触。アストンマーチンがグラベルに飛び出して8番手に下がると、5番手に留まった1号車アウディにはドライブスルー・ペナルティが課されることとなった。
この結果、マルチェッロがブランパンGTシリーズ総合チャンピオンに輝くと同時に、メルセデスAMGチーム・AKKA ASPが総合チームタイトルを獲得している。一方、エンデュランスカップのドライバーズおよびチームズタイトルは、今レースを制したメルセデスAMGチーム・ブラックファルコンと同チームのブールマン、エンゲル、ストルツ組が獲得したと思われた。
しかし、シリーズを運営するSROはレース後、4号車メルセデスのエンジンにつながる吸気口に、FIAによってホモロゲートされていないテープが使用されているのを発見。これがブランパンGTシリーズ・スポーティングレギュレーション第6条および第11条に抵触しているとして、同車をレース結果から除外するとアナウンスした。
この裁定を受けてチームは当該違反が「パフォーマンス上、利益を得ていない」と反論。控訴する意思を示したため、今レースの結果は暫定扱いとなっている。
■ニッサンGT-R、レクサスRC Fは波に乗れず厳しい結果に
最終戦バルセロナに臨んだ日本車勢にとって、今レースは厳しい戦いとなった。トレーシング中に肩を負傷したルーカス・オルドネスに代わってヤン・マーデンボローを迎えたGT SPORT・モチュール・チームRJNは、23号車ニッサンGT-RニスモGT3が13番手からスタートするが、オープニングラップに他車と接触したことでドライブスルー・ペナルティを受けて後退してしまう。
さらに中盤にも接触による30秒ストップペナルティを受け、23号車GT-Rは最終的に23位でフィニッシュした。僚友の22号車GT-Rは40番手スタートから一時は30番手前半までポジションを上げたものの、レース終盤に1コーナーでクラッシュを喫し42位完走となった。
エンデュランスカップのランキング首位で今戦を迎えたエミール・フレイ・レーシングは、エースカーの14号車レクサスRC F GT3が19番手から上位を目指すも9周目にガレージイン。そのままレースを終えてしまった。また、114号車レクサスもレース中盤にマシンストップしリタイアとなっている。



