「一緒にル・マンに行って、ウェンの引退を自分も一緒に戦って見届けるのが僕の役目だと思っていた」と澤。
「この2年間、実は自分が置かれている環境のなかでは“精いっぱいの背伸び、つま先つんつん立ち状態”、そんな状況で世界選手権を戦ってきました。しかし、つま先立ちだったからこそ見えたいろいろな世界がありました。日本でレースを続けていたらアジアはなかったし、アジアがあったから世界で戦える今があります」
「彼から『今季限りで……』と相談をされたのはつい最近、8月のシルバーストン戦前でした」
その告白を受けてからは、自身の今後について考える日々だったという澤。
「それから自分のこれからを考える毎日でした。しかし、彼が引退するということは当初から“自身のコーチとしての役目を終了する時”だと自然と思うようになりました」
「WECスーパーシーズンはまだ続きます。クリアウォーターというチーム名での参戦もきっと続きます。しかし、きっとそこに私は居ません。
「2019年のセブリング、スパ、そして4回目の挑戦となるはずだったル・マンにチームやウェン、そしてマット(・グリフィン)と一緒に行けないことは非常に残念です」

■「ル・マンを第一候補に、国内復帰も視野に入れる」
突然の決定に澤は2019年以降の活動は未定だというが、4度目のル・マン挑戦が可能であれば、そのチャンスを活かしたいという。
「まだ来年以降どうするのかはは未定です」
「クリアウォーター・レーシングとしての参戦権利は継続されるのでチームは今、今後の活動をAFコルセと模索中です」
「もしかしたらウェン以外のチームのパッケージはそのままで継続になるかもしれない。その時は僕もまだ継続参戦のチャンスがあると思っていますし、最低でもル・マンだけでも出場できないかと、他の可能性も含めて調整をするつもりです」
「そしてその線を第一候補として進めながら、それ以外にもアジアのモータースポーツシーンに戻ってGT3レースを中心に活動を再開するか、日本のスーパーGTやS耐久も最近魅力的だと感じているので候補に入れています」
「いずれにせよ、今週末の“母国”富士戦、そして来月のWEC上海戦をしっかり戦うことが先決です。ウェンは『最後は全力アタック! そして笑顔で気持ち良く終えよう』と言ってます。当然、僕もその心づもりです」
最後にチームやモク氏への謝意を述べた澤。今後の活動については決定次第、発表していきたという。
「改めてクリアウォーター・レーシングやウェンには、こんな素晴らしい機会を長い間頂いたことに感謝しています。また日本から応援して下さるみなさまの支援や温かい応援が、いつも僕の活動の馬力となりトルクとなって今まで邁進してこれました。本当にありがとうございました」
「あと一歩で今まで自分がやってきたやり方で、レーシングドライバーとしてのカタチを後に残すことができると思っています。なので、まだもう少し現役ドライバーは続けたいと考えています」
