2分以上あったチームメイトとの差はみるみるうちに縮まり、ついに残り59分となったところで、一貴駆る8号車が7号車を逆転。総合トップに躍り出た。2番手に後退した7号車はふたたびピットに戻り、タイヤ4本を交換して戦線に復帰していく。
その後ペースを回復した7号車だったが、残り時間55分で約60秒に開いたギャップは簡単に埋められるものではない。そうした状況のなかでも、ロペスは鬼気迫る走りで挽回を図る。しかし、最終的には僚友8号車が2年連続でトップチェッカーを受け、7号車は16秒972秒及ばず2位に終わった。
なお、友山茂樹GAZOO Racingカンパニープレジデントは、レース後のコメントのなかで終盤のアクシデントについて語り、7号車のタイヤセンサーに問題あったと説明する。
「87回目を迎えた伝統のル・マン24時間レースにて、2年連続の優勝をワン・ツー・フィニッシュで飾ることができました。『ル・マンに勝つにはクルマが速いだけではダメで、クルマもチームも、もっと強くならないといけない』と、昨年の優勝に満足することなく、改善を積み重ねてきたことが連覇に繋がったのではないかと思います」
「しかし、喜んでばかりはいられません。終始レースをリードしていた7号車に、残り1時間のところでパンクが発生、そこにタイヤセンサーのトラブルも重なり、大きなタイムロスにつながりました」
「『まだまだクルマもオペレーションも改善が足りない!』と、ル・マンの女神が言っているのだと思います」
レースに“タラレバ”は禁物だが、適切な対応ができていれば、結果は異なるものになっていた可能性も充分にあったようだ。
また、村田久武TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表も、連覇を成し遂げたチームを誇りに思うとしながらも、複雑な気持ちであると胸の内を明かした。
「ル・マン24時間レースの連覇を達成できましたが、優勝に十分値する活躍をしたマイク、可夢偉、ホセ-マリアには大変申し訳ないことをしました」と村田氏。
「そのため気持ちは複雑です。近日中に今回起きたことの真の要因を突き止め、再発防止を図ります。しかしながら我々が示すことができた総合的なパフォーマンス、最後の1時間を含めた戦うチームスピリットについては誇りに思います」
「また、WECワールドチャンピオン及び2回目のル・マン制覇を果たしたセバスチャン、一貴、フェルナンドを祝福します。TOYOTA GAZOO Racing にとって、歴史的なWECスーパーシーズンの最後に相応しい成果で、来年のタイトル防衛に向けての弾みとなります」
■小林可夢偉「ル・マンで勝つことがどんなに難しく厳しいかを見せつけられた」



