Ryuji Hirano / autosport web

 2年目の挑戦でつかんだ自信を、CARGUY RACINGはどう“未来”に繋げていくのだろうか。「ル・マン24時間がどんなレースか改めて感じたのは、スピードは最低限必要なんですが、やはり壊れないクルマが大事ですね。トップ4の顔ぶれをみても、スピードでいえばそこまで特別に速いわけではありませんが、やはり『何も起きなかった人たち』なんです。そういうクルマとチームを作らないと、やっぱりル・マンは勝てない」というのはコッツォリーノだ。

「昨年はたまたま、本当になにも起きなかったんです。でも今年は、新型コロナウイルスの影響でMR RACINGが参戦しないことになり、CARGUY RACINGとして参戦することになりましたが、木村さんもその影響でスーパーGTに出られたものの、本来は海外でテストをしなければいけなかった。でもできないですよね。参戦がギリギリに決まった部分もあり、それぞれエンジニアもメカニックもポテンシャルはありながらも、サーキットで現地集合で、はじめましてからスタートしている状態でした」

 2019年の挑戦では、その前年からCARGUY RACINGの日本人スタッフとAFコルセのスタッフが共同でアジアン・ル・マンに挑み、全戦全勝でチャンピオンを獲得し、ル・マンへの挑戦権を獲得。入念な準備を経て、ほぼそのままのパッケージでル・マンに挑んでいた。違う点と言えば、ドライバーが1名変わったくらいだった。

 しかし今季は、直前で参戦が決まり、AFコルセのスタッフがほとんど。急造チームで、フリープラクティスから細かいトラブルもあった。「勝っているチームはWECを戦っていて、1年間ともに過ごしているファミリーのチームなんですよね」とコッツォリーノはいう。

 また木村も、「今回いろいろなトラブルは起きましたが、納得できる答えが出てこないんです。なぜこうなったのかと。4周目のトラブルも、ECUがショートしてミッションがおかしくなったのですが、ドリンクホルダーの下にECUがあって、水がこぼれてショートしていたそうなんです。あまり納得できないですし、それが本当に正しいかどうかも分からない。自分たちのチームでないから余計ですよね」という。

■浮かびはじめた壮大な計画

 では、ル・マン24時間という世界三大レースで戦うためにはどうすればいいのか。ちょうどこの記事の取材時に話し合われていたのは驚きの計画だ。「いま、WECに出ようと思っていたんです。それも全部自前で」と木村は2021シーズンのWECフル参戦を考えていると語った。

「もちろんまだ思っているだけで、実現するかどうかは別問題なのですが、日本人のメカニック、日本人ドライバーでぜんぶ一度コンプリートしてみたいんです。もちろんできるかどうかは分かりませんし、AFコルセからは『難しいのではないか』と言われていますが、そのあたりも含めて挑戦してみたい」と木村は来季へ向け、壮大な計画を述べた。

 木村が言うように、まだ「話しはじめた」だけだ。さらにWECフル参戦ともなれば、費用面も跳ね上がる。すでにカレンダーは発表されてはいるが、今後新型コロナウイルスの影響もどうなるかは分からない。

 それでも「やはり、ル・マンで勝つためには世界選手権に出ないとやはり無理だと感じています。歴代のウイナーを観ていても、やはり世界選手権をやっていますから」とコッツォリーノは言う。

 木村は「問題点が見いだせたということですね。それに向かってやっていこうと。実現できるかは分かりませんが、皆さんに応援していただければな、と思っています」と語った。CARGUY RACINGが2年目のル・マンで得た自信がどう昇華されていくのか。これまでも、他人が思いつかないようなエンターテインメントをみせてきた“自動車冒険隊”CARGUY RACINGの行く先から目が離せそうもない。

2年目のル・マン24時間に挑んだ木村武史
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2年目の挑戦が「自信になった」とケイ・コッツォリーノ
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ピットでは火災に見舞われるシーンもあった。
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