勝負を分けるポイントとなったのはスタートから22時間40分過ぎに導入されたFCYのタイミングだ。この時点で首位に立っていた66号車アウディをはじめ、上位陣では98号車ポルシェ、51号車フェラーリがピットに飛び込むとポルシェが先頭でコースに復帰する。
しかしこの3台は最後のスティントが65分の連続走行時間を超過することから、もう1度ピットに入る必要があった。当該レギュレーションに正攻法で対応し、残り時間に合わせてピットインした25号車アウディだったが、対する98号車と66号車はピットアウト後にふたたびピットインしてこの規定をクリア。SCラン下のピット作業となり順位を下げた前者を尻目に総合首位、2番手でコースに戻った。
一方、AFコルセは残り65分を切るのを待って51号車をピットアウトさせる戦略をとるも最適解とはいえず。3番手でのコース復帰となっている。
チェッカーまで残り55分でリスタートが切られるが、直後にスタックした車両を回収するため、ふたたびFCY/SCが導入されたレース終盤、残り時間35分となったところでレースが再開される。
トップはタンディ駆る98号車ポルシェ、これを66号車アウディのパトリック・ニーダーハイザーが追う。24時間レースのフィナーレを飾るトップ争いは一時、両者の差が2秒を切る接戦となり、ファイナルラップ直前には98号車ポルシェのオンボード映像において“異音”が響き緊張感が漂うなか、最後は2015年のル・マン総合ウイナーが逃げ切ってトップチェッカー。レース後、98号車ポルシェのギアボックスが壊れていたことが明かされている。
4.6秒差の総合2位は66号車アウディ、3位には残り15分で51号車フェラーリをオールージュで交わした54号車ポルシェ911 GT3 R(ダイナミック・モータースポーツ)が入り、4位にも12号車ポルシェ911 GT3 R(GPXレーシング)が続いたことでポルシェがワン・スリー・フォー・フィニッシュを達成した。レース折り返しをトップで迎え終盤まで表彰台を争った51号車フェラーリは5位でチェッカーを受けている。
プロ・アマクラスはバーウェル・モータースポーツの77号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(サンディ・ミッチェル/リッキー・コラード/ロブ・コラード/レオ・マチツキー組)がクラス優勝を達成。シルバーカップではHRTの5号車メルセデスAMG GT3(ガブリエル・ピアナ/ミケル・ベレッタ/セルゲイ・アファナシエフ/フバート・ハウプト組)が、アマクラスはラトン・レーシングの129号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(クリストフ・レンツ/マイケル・プチ/ステファノ・コスタンティーニ/ルーカス・アイルトン・モーロン組)がクラスウイナーとなった。
小林可夢偉を擁して参戦したハブオートの27号車フェラーリ488 GT3はレース中盤以降、総合16~18番手で走行を続けていたものの最終的には総合23位でレースを終えた。もうひとりの日本人ドライバー、濱口弘が乗り込んでスタートした19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evo(オレンジ1・FFFレーシング)は、レース序盤に接触を受けてクラッシュを喫したことでリタイアとなっている。
この他の日本車勢では、チーム・ホンダ・レーシングの29号車ホンダNSX GT3が総合9位でフィニッシュし、テック1・レーシングの15号車レクサスRC F GT3は総合44位/シルバーカップ9位でレースを終えた。


