【中嶋一貴&小林可夢偉】悩みは重量と大きなデグラ。ハイパーカーの現状と「打倒LMP2」に挑む心境を語る/WECスパ
可夢偉の駆る7号車がテスト初日にトラブルに見舞われマイレージを稼げなかったのに対し、比較的順調にメニューをこなした8号車の方は、ロングランに対する理解はやや深まっているようだ。
一貴は「テスト初日はタイヤとラップタイムの落ちが大きすぎてちょっと心配だったんですけど、2日目になるとそこら辺が少しマイルドになったかなと思います」とセットアップの進捗を語る。
ただしエンジンの駆動を受け止めるリヤだけなく、フロントのデグラデーションも「ある程度、大きい」といい、「ニュータイヤでの走り始めから、ダブルスティントを終えるまでのバランス変化を見極めてうまくセットアップしないと、(スティント)後半はつらいことになりそうな感じ」と、可夢偉と同じくスティント後半に向けた不安は拭いきれない様子だ。
プロローグでのロングラン時には、あまりLMP2クラスのマシンを抜くシチュエーションはなかったという一貴だが、「速いLMP2と一緒に走ったら、オーバーテイクはなかなか難しそう」と予想する。さらにLMP2だけでなく、今季はLMGTEとのタイムギャップも縮まっている。
「テストでも実際にGTが絡むクラッシュもありましたし、(トラフィック処理は)かなりトリッキーになると思います。ただスピード差が小さい分、トラフィックを処理する回数は減ると思うので、そのあたりは良し悪しですかね」
来る開幕戦のレースに向けては、「LMP2もかなり速いし、(同じクラスの)アルピーヌ含めて油断できない、激しいレースになると思う。見ている人には面白いレースになるんじゃないですかね」と一貴が語れば、可夢偉も「この状態がいいと思うか、悪いと思うかは人それぞれだと思う。ただ、このタイム差がどうこうというのは、僕らが決めることではなくてACOが決める(判断する)こと。僕らはこの状況のなかで、戦うしかないのが現状だと思います」と置かれた現状を比較的クールに捉えているようだ。
可夢偉はまた、こうも語っている。
「もちろんレースなので勝てればいいですけど、こうやって新しいルールのなかで開発するということは、いろいろと複雑な面もある。それが今後どう変化するかということを含め、“変化の年”ということ。まずは自分たちができることを、やらなければいけないと思ってます」
レースは混戦になりそうだが、と向けられた可夢偉は、こう言って会見を締めた。
「はい。“打倒LMP2”ということで」