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投稿日: 2021.06.18 12:51

D’station Racing 2021 WEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ レースレポート


ル・マン/WEC | D’station Racing 2021 WEC世界耐久選手権第2戦ポルティマオ レースレポート

D’station Racing

Race Report – 2021.06.19

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2021 FIA World Endurance Championship
Round 2 8 Hours of Portimão (PRT)

JUN. 11 – 13 Qualify :9th / Race:Retired

着実な進歩をみせ首位を走るも、不運な接触でリタイアに

 2021年からWEC世界耐久選手権に挑戦を開始したD’station Racing。その緒戦となったスパ・フランコルシャンでの開幕戦は、テストでのクラッシュから挽回し、まずは完走という目的を果たした。それから約1ヶ月半。第2戦の舞台として迎えたのは、ポルトガルのアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェ。ポルティマオと呼ばれる、アップダウンがある難コースだ。

 今回もD’station Racingの#777 アストンマーティン・ヴァンテージAMR GTEは、星野敏と藤井誠暢、そしてアンドリュー・ワトソンの3人で挑んだ。第1戦からのステップアップを目指し、6月11日(金)のフリープラクティス1に臨むと、気温24.5℃という暑さのなか、ワトソンからコースインし、藤井、星野、ふたたび藤井、星野と交代。藤井がまずは1分41秒977というベストタイムをマークする。

 続くフリープラクティス2、そして6月12日(土)のフリープラクティス3と少しずつ気温が下がっていくなか、D’station Racingは3人が交代しながらセットアップを進めていく。星野、そして藤井のタイムも上がっていき、フリープラクティス1ではLM-GTE Amクラス最後尾だったが、フリープラクティス3では10番手につけ、3回の走行を締めくくることになった。

 迎えた6月12日(土)の公式予選は、現地時間午後6時からスタートした。この時期のヨーロッパでは、まだまだ日中と言える明るい時間帯だ。LM-GTE Amクラスではジェントルマンドライバーがアタックを務めるが、星野は計測3周目から1分41秒台のタイムを連発していく。4周目、1分41秒136という好タイムをマークすると、その後も6周目まで1分41秒台を刻み続けアタックを終えた。最終的には1分41秒136が最速ではあったが、第1戦同様ホワイトラインカット(コース外走行)により抹消に。1分41秒499がベストとなり、クラス9番手から決勝レースを戦うことになった。

 いよいよ迎えた6月13日(日)の決勝日。現地時間午前11時から8時間のレースがスタートした。D’station Racingのスタートドライバーを務めたのは、第1戦と同じく藤井だ。ここまでの2日間でポルティマオのコースを習熟していた藤井は、スタート直後の1コーナーにイン側から入ると、前方のLMP2クラスのアクシデントもうまくかわし、なんと1周目にして3番手まで浮上してみせた。世界中に配信される公式映像も怒涛の走りをみせる藤井に釘付けだ。

 勢いに乗る藤井は、5周目には一気にLM-GTE Amクラスのトップまで浮上した。このままリードを築き、後に続く星野、ワトソンにマージンを作って繋ぎたい。ただ、そんなチームの希望に反し、藤井はブレーキングで白煙を上げるなど、少しずつ苦しい走りとなってしまった。スタートから25分が過ぎようかというところで、異変が大きくなったことを感じた藤井は、ピットに戻る。タイヤにトラブルが発生していたのだ。

 逃げのレースには痛い展開となってしまったが、すぐにタイヤを交換すると、ふたたびハイペースで追い上げを図った。51周までを走った藤井は、ふたたび暫定ながらトップに進出することに成功した。チームは再び大きな希望を抱いた。

 藤井から交代した星野も1分42秒台から44秒台で着実にレースを展開していくが、65周目、まさかのアクシデントが起きてしまう。集団のなか、今回ハイパーカークラスにデビューした709号車グリッケンハウスが、星野の側に寄ってくるようにヒット。たまらず姿勢を乱した星野は、77号車ポルシェにもヒット。ダメージを負いピットに戻ることになってしまった。

 チームは車両修復を行い再コースインするも、エンジンオーバーヒートによる内部破損により、星野はコースサイドにストップしてしまう。結果はリタイア。今後に繋がる速さはありながらも、WECの2戦目は悔しい結果に終わってしまった。

D’station Racingの777号車アストンマーティン・バンテージGTE
D’station Racingの777号車アストンマーティン・バンテージGTE

D’station Racingの777号車アストンマーティン・バンテージGTE
D’station Racingの777号車アストンマーティン・バンテージGTE

COMMENTS:

Driver:Satoshi HOSHINO
初めてのサーキットとなるポルティマオでしたが、事前にシミュレーターで走り込んでいた印象と実際が非常に近く、難しいサーキットでしたが、予想よりもしっかりと順応できたことは良かったです。予選では9番手となりましたが、もう少し上の順位にいけた手ごたえもありました。レースは藤井選手が序盤に順位を上げてくれたものの、私のスティントで他クラスの車と接触することになってしまい本当に残念です。レースペースは前回のスパよりも良いものになりましたが、次戦のモンツァではアクシデントにならないよう、自分自身のレース中のマネージメントのレベルをさらに上げ、チームのリザルトに繋げられるよう頑張っていきたいと思います。

Driver:Tomonobu FUJII
初めてポルティマオでのレースを戦いましたが、テストもなく時間も短いなか、チームが素晴らしいクルマを用意してくれたこともあり、走り出しから好感触で、比較的早い段階からタイムを出すことができました。レースは9番手スタートでしたが、1周目をうまく決めることができ、トップまで順位を上げることができました。その後タイヤトラブルもありましたが、再度トップに立つことができ、ストラテジー次第では上位にいける感触がありました。ただその後、星野選手が接触されてしまい、相手にはペナルティが出たものの、完走できず残念に思っています。とは言えチーム全体で見ると今回感じたポテンシャルは次に繋がるものです。次戦良いレースができるよう頑張ります。

Driver:Andrew WATSON
今日は悔しいレースになってしまったね。我々は強力なパフォーマンスがあるはずだったけれど、難しい週末になってしまった。もちろん今年は簡単なシーズンではないとは分かっていたけど、っ今回得られたことを次回に活かさなければならない。僕はレースでドライブできなかったけれど、星野サンは今回もスピードがあったし、予選でもタイム抹消がなければトップ5は見えていたし、藤井サンも素晴らしいスピードをみせつけてくれた。クルマも良くまとまり、TF SPORTとD’station Racingのコラボレーションもうまくいっている。今回は期待どおりのレースではなかったけれど、もう一度チームの力を集めれば、表彰台は間違いなく見えているし、その自信はあるんだ。

Team Director:Tom FERRIER
コメントは本当に悲しいものになってしまうね。星野サンは素晴らしい予選をみせてくれたし、フリープラクティスから藤井サンもアンドリューも、非常にペースが良かった。間違いなくポテンシャルはあったはずなんだ。そしてレース序盤の藤井サンのファンタスティックなドライブで、トップに立つこともできていた。しかし、他クラスのドライバーのミスもあり接触することになってしまい、ダメージによってレースを終えることになってしまった。しかし、決勝レースでのペースをはじめ、第1戦スパから進歩して、ポジティブな要素があったことも間違いない。次戦のモンツァも非常に楽しみにしているよ。

DSR Technical Director:Ryo HIRANO
公式予選では、星野選手が本当に素晴らしいタイムを出してくれました。最終的に四輪脱輪で抹消されてしまいましたが、セクターベストをまとめれば4番手には入ることはできたと思うので、良い予選にはなったのではないでしょうか。決勝では、スパの経験も含め藤井選手にスタートを任せ、逃げる作戦を採りましたが、タイヤトラブルこそあったとは言え、藤井選手が作戦どおり首位で帰ってこられたのは大きかったです。最終的に接触があり、TF SPORTのメカニックは迅速な修復を行ってくれましたが、エンジンまでダメージが及んでいたのは残念でした。チームの調和も良くなっていますし、モンツァからどんどん取り返していきたいと思います。

Chief Engineer:David BREWER
第1戦のスパに続き、星野サンはベストな予選をこなしてくれたと思う。ただ残念ながらタイム抹消になってしまったこともあり、今回も藤井サンにスタートを任せることにしたんだ。素晴らしい序盤の走りで星野サンに繋ぐこともでき、タイヤのトラブルもあったとはいえ、トラックの空いたスペースを走ることができた。ストラテジーはすごくうまくいっていたと思う。しかし最後は他車に接触され、大きなダメージを負ってしまった。20分で修復することができたとは言え、オーバーヒートでリタイアせざるを得なくなってしまった。今回は良い結果が期待できただけに、こういった展開になってしまいすごく悔しいよ。

星野敏
星野敏

藤井誠暢とアンドリュー・ワトソン
藤井誠暢とアンドリュー・ワトソン

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