前述のとおり、アウディスポーツ・チームWRTは雨が降り始める前にウエットタイヤを履いたマシンをコースに送り出す“ギャンブル”を行い、一度はそれを成功させた。

 しかし2度のスパ24時間優勝経験を持つWRTのスポーティングディレクター、カート・モレケンスは優勝を狙うための主要な戦略オプションであったにもかかわらず、レースの最終段階でアウディを危険にさらすことになったと説明した。

 彼はSportscar365に対し、「フェラーリがタイヤ交換のために追加のピットに戻ったとき我々のクルマは最終コーナーを通り抜けていた。これによって得たギャップは約75秒で、仕事は終わったようなものだった」と語った。

「突然の雨はクラッシュのリスクを高め、実際に起こった。それによって一度は大きく開いたギャップは(セーフティカーによって)元に戻されたが、私たちのクルマと彼らの間には複数台のクルマが挟まっていたので最後の30分を生き残るには充分だと思っていた」

「とはいえ、乾いた路面にウエットタイヤのクルマを送り出したのだから多少は苦しくなるのは当然だ。半周以内に雨が降り始めたが、セクター2の大半は乾いた路面を走らなければならなかった。そうするとラバーの表面が焼けてしまう」

「ピットレーンで雨が降っていたので『これで大丈夫。仕事は終わった』と思っていたのだが、実際にはセクター2は完全にドライだったんだ」

「そこでゴムブロックの表面が解け、その上で転がり始めてしまう。そのようになったタイヤで雨量が増えるとグリップが低下してしまうんだ。しかし、我々にはあれ以外に選択肢はなかった。最後のピットストップをスリックで出ていき、他のクルマと同じように、もう一度ピットに戻っていてはチャンスはまったくなかっただろう」

総合2位となったケルビン・ファン・デル・リンデ、シャルル・ウィーツ、ドリス・ファントール組(アウディスポーツ・チームWRT)
総合2位となったケルビン・ファン・デル・リンデ、シャルル・ウィーツ、ドリス・ファントール組(アウディスポーツ・チームWRT)
最終スティントで見せ場を作ったアウディスポーツ・チームWRTの32号車アウディR8 LMS
最終スティントで見せ場を作ったアウディスポーツ・チームWRTの32号車アウディR8 LMS

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