決勝スタート日の7月31日、この日は朝から“スパウェザー”が顔をのぞかせ、突然雨を降らせたかと思えば日差しが見えるなど天候がコロコロと変わり始めており、波乱のレースを予感させた。
16時30分のスタートを控えたグリッドではやや緊張した面持ちの富田だったが、数多くのトップドライバーの一員としてスタートに立つ喜びに満ちていた。また根本は、「なるべく力を抜くように頑張ります」と語ってマシンへと乗り込んでいく。
決勝では日本人3名がスタートドライバーを担当。富田は最後尾に近い56番手、濱口は45番手、根本は42番手からレースを開始した。しかし、レースは開始早々にラディオンで発生した多重クラッシュの影響でスティントの多くの時間をフルコースイエロー(FCY)に費やされることに。
リスタート後には突然の大雨が到来し、レースは序盤から大きくかき乱されることとなったが、その後は天候も安定しドライコンディションでナイトセッションに突入していく。
そのなかで19号車ランボルギーニがウォールに激突し、午前0時を目の前にして緊急ピットインした。19号車は事故の衝撃でバックモニターが落下。これが運悪く主電源装置を直撃し、電気系統を喪失してしまう。これによりABSやパワーステアリングがまったく機能しなくなり、その時点でリタイアを選択する他ない状況となった。
次の交代ドライバーとして控えていた濱口は、このトラブルにより2度目のスティントを担うことなく今年のチャレンジを終了することとなっている。
「今大会ではレースウイークを通して私自身は合計10周も走れないというような、最短で終わってしまいましたが、これもレースであり、スパの過酷さを物語っていると思います」と語った濱口。
「このスパをノーポイントで終了してしまったのでGTワールドチャレンジ・ヨーロッパのシーズン優勝は絶望的になってしまいましたが、残りのニュルとバルセロナの2戦で少しでも上のポジションでシーズンを終えられるようにチーム一丸となって頑張りたいと思います」
残りのシーズンに向けた意気込みを語った濱口は来季に向けた計画も口にしつつ、引き続きスパ24時間へのチャレンジを続けるという。
「アジアとヨーロッパでシリーズ戦を制覇し、来年はアメリカへ戦いの舞台を移して新たなチャレンジをしようと計画しています。しかし、スパ24時間にはスポットとして継続して参戦するつもりです」


