──他にも心境的にご自身が変化されたと感じることはありますか?

富田:レース中のモチベーションの保ち方が変わりました。

 以前は感情に影響されることが多く、何かが起こるとイラっとして走りにも出てしまう方でしたが、いまは自分がフラットでいられるようになり、何かに影響されることなくドライブできるようになりました。それにより、日本に戻ってレースに出る際にはすぐに順応できるようになりました。

 また、エンジニアリングの面では、WRTでは日本のレースよりもより深いところまで追求しますので、セットアップやレースウイークの組み立て方等を、いままで以上にチームから学び取り、繊細に対応できるようになったと思っています。ドライバー自身も(その組み立てを)意識しないと強くなれないんだなと感じました。

──念願だったスパ24時間レース参戦という目標を叶えられましたが、次なる目標は?

富田:僕がレーシングドライバーを始めた時の目標は、どんなカテゴリーであろうが世界の人々から「コイツ凄いな」と思われるようなドライバーになることでした。これは当時もいまも変わっていないのですが、一時期その目標を見失っている時がありました。

 そんな時に僕のスポンサーをしてくださっているグランバレイ株式会社の大谷泰宏代表取締役や周りの方々に、「日本に拘らずに、一度海外に出てみたらいいのでは?」とアドバイスを頂いて、このWRTへ加入することになりました。

 それまでは日本でスーパーGTのGT300クラスに参戦していたのですが、ヨーロッパの多くの人はその存在をまったくと言ってよいほど知らない。それがとても悔しく、日本でどれだけやってこられていたのか、ヨーロッパでも日本と同様に活躍できるドライバーになりたい、と強く思いました。

──今後の活動ビジョンをお聞かせください。

富田:ル・マン24時間レースに参戦することなのですが、いまの状況を考慮すると難しいとは充分理解しています。

 とはいえ、自分の未来がどうなるのか毎年まったく先が読めない状況で、まさか今年はGTワールドチャレンジのスプリントとエンデュランスの両方に出られるとは夢にも思っていませんでしたから、この先も何が起こるのか分かりません。可能な限り、自分ができることを準備しておきたいとは思っています。

 また、アジア人初のアウディスポーツのファクトリードライバーになりたいと願っていますが、年齢的にも厳しいと理解しています。どの方向に進むのにせよ、今年のGTワールドチャレンジの結果次第だと思いますので、残りのレースをしっかり準備して戦っていくつもりです。

 スプリントとエンデュランスの予選では、アウディのファクトリードライバーのポジションに限りなく近いポジションをキープすることが大切だと思いますし、そこを目指しています。

2021年スパ24時間レース
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