更新日: 2021.08.23 02:28
小林可夢偉組が悲願の初優勝! “ハイパーカー元年”にトヨタは4連覇達成/ル・マン24時間決勝レポート
決勝前に1台が撤退したことにより、24台で争われたLMP2クラスは中盤からチームWRTの31号車(ロビン・フラインス/フェルディナンド・ハプスブルク/シャルル・ミレッシ)と41号車(ロバート・クビサ/ルイ・デレトラス/イーフェイ・イェ)がワン・ツー体制を築き、フィールドをリードした。
残り6時間を切り、トップ2台は同一ラップで、約2分〜1周の差。しかしギャップは徐々に縮まり、21時間30分を経過したところでのピットで31号車はジャッキと思われるトラブルにより作業時間を要すと、ピットタイミングによって2台の順位が入れ替わる緊迫した展開となる。
41号車がイーフェイ・イェに交代すると、トップの31号車フラインスへの差を詰めていき、残り1時間40分時点のルーティンピットを終えるとテール・トゥ・ノーズ状態で41号車が前へ。チーム内バトルに勝負をつけたかに見えた。
しかしフィニッシュまであと3分、トップのトヨタがファイナルラップに突入した直後、41号車のイェがスローダウンからダンロップ・シケイン先でストップ! まさかの展開で31号車のフラインスがクラストップを奪うが、背後にはJOTA28号車オレカのトム・ブロンクビストが迫っていた。
フィニッシュラインではスローダウンするトヨタ2台へと追いつき緊張が走ったが、フラインスがわずか0.727秒差で逃げ切り、31号車がクラス優勝を飾っている。
ポルシェ、フェラーリ、シボレーの3メーカーの車両によって争われたLMGTEプロクラスは、レース後半はAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoと、コルベット・レーシングのシボレー・コルベットC8.Rが同一ラップで一騎打ちという展開となった。
そこから約1ラップおくれて、ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19、さらに91号車ポルシェと続く展開で最後の6時間に突入していった。
18時間30分すぎ、トップ走行中の51号車がピットでのルーティン作業を終えると、一瞬ガレージへ入れられる。しかしすぐに再びピット前へと出され、同時にピットインしてきていたコルベット63号車に抜かれることなくコースへ復帰した。
その後もトップ2台は同一ラップで、概ね1分以内で神経戦が続いたが、両車とも安定した走りで順位変動は起きず。51号車フェラーリのアレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/コム・レドガーがクラス優勝を遂げた。
23台で争われたLMGTEアマクラスは、中盤からトップに立ちレースをコントロールしたAFコルセ83号車フェラーリ488 GTE Evo(フランソワ・ペロード/ニクラス・ニールセン/アレッシオ・ロベラ)が優勝。
LMGTEアマクラスにWECシリーズ参戦している日本籍チーム、Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR(星野敏/藤井誠暢/アンドリュー・ワトソン)はクラス6位。
木村武史が参戦したケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evoは、スタートからクラッチの不具合に見舞われていたが、好走しトップを争う場面も。しかし、中盤エンジンブローによりリタイアに終わっている。
また、手だけでドライブできるように改造されたオレカ07で特別枠から参戦したアソシエーションSRT41の青木拓磨/ナイジェル・ベイリー/マシュー・ライエ組は、青木がチェッカードライバーを務め、総合32位でフィニッシュした。
全6戦で争われる2021年シリーズのWEC。次戦はもともと、富士スピードウェイでの富士6時間レースが予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う渡航制限の影響によりキャンセルとなり、代替の第5戦が10月28〜30日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される。