ドラマはさらに続く。フラインスはテルトル・ルージュの進入でLMGTEアマクラスのポルシェ911 RSR-19と接触。このコンタクトはオレカ07の左リヤにダメージを与え、ハンドリングの問題を引き起こすことになる。

「タイヤの構造が壊れたとすぐに感じた」とフラインスは説明した。

「右コーナーで荷重を掛けられない状態になった。それから僕は大幅にスライドしてしまった。ダウンフォースを失ったように感じ、ペースが一気に落ちてしまったんだ」

「左リヤタイヤが壊れたまま1スティントを走りきった。それはやはり構造の破損だったよ。DTMドイツ・ツーリングカー選手権で使っていたハンコックタイヤのサイドウォールでこのような経験をしていたので、その感覚は知っていた」

「おかげで僕はパンクではないと分かったんだ。だから時間をロスすることなく1回のスティントを走りきった」

「リヤタイヤを交換した後、今度はフロントが古くなっていた。クルマはブタのようにアンダーステアになるだろうと思っていたが、わずか2周でまたリヤがなくなった。それはタイヤのせいではなく(カウルの損傷で失った)ダウンフォースの影響だ」

「右コーナーはすべてダウンフォースがなく、左コーナーでもトリッキーになっていた。リヤディフューザーか何かが壊れたのかもしれない」

■トップ走行の姉妹車41号車がファイナルラップでストップ

 31号車オレカは明らかに苦戦しており、フラインスは夜の間に圧倒的な強さをみせていた彼と彼のコドライバーたちの勝利のチャンスが無駄になると考えていた。

「その時点では、僕たちのレースは終わったと思った」と彼は振りかえる。

「クルマの中では必死だったけど、落ち込んでもいた。後ろのブロンクビストは僕たちのペースよりも遥かに速かったしね」

 しかし、そのフラインスにチャンスが訪れる。WRTがまだ完全には診断できていない“技術的な問題”によって、ファイナルラップで41号車オレカがダンロップ・ブリッジを過ぎたところでストップ。31号車が土壇場でクラストップとなったのだ

「最後のラップを開始するためにフィニッシュラインを通過したとき、ラジオの向こうで『シスターカーが止まった!』と大騒ぎしていたんだ」とフラインス。

「僕は2位を確保する走りをしていたが、突然トップを守らなくてはいけなくなったんだ」

クラストップで最終ラップに入ったところで、マシンが止まってしまったチームWRTの41号車オレカ
クラストップで最終ラップに入ったところで、マシンが止まってしまったチームWRTの41号車オレカ

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