更新日: 2021.09.08 15:06
ル・マン/WECのGT3採用は「脅威ではない」とSROのステファン・ラテル「控えめに貢献」する考えも
ラテルはまた、ファクトリーがサポートするプロレベルのGTレースへの移行は、この規格に対して悪影響を与える可能性が高いことを示唆している。
「私は、何がSROにとって良いことなのかという短期的な分析に基づいて話しているわけではない」とラテル。
「私はGTレーシングの愛好家として、そして(カテゴリーの)設計者として語っているまでだ。ひとつ確かなことは、レシピを変更せずに同じ材料を入れたら、似たようなものになってしまう、ということだ」
「キーとなる疑問は、GTプロを必要とし、この種のプログラムの実行するために3000万〜4000万ユーロの予算を準備するマニュファクチャラーがいた場合、それはマニュファクチャラーを殺すだけ、ということだ。彼らは同じことを繰り返し、浪費をしてシリーズを離れることになる。いつも同じことが起こるんだ」
「優れた技術規則ではなかったから、GTEが消滅するのではない。マニュファクチャラーが直接関わったから死んだのだ。これはDTMやLMP1など他のものが終焉を迎えたのと同じ理由だ」
「何度も繰り返されている、同じストーリーだ。我々は大きな打撃を受けることなく、15年間にわたってGT3のシリーズを維持してきた。力強く始まり、そしていまなお力強い15年間だ」
過剰な支出によってGT3カテゴリーが将来的に劣化していく場合に備え、ラテルにはバックアッププランもある。2018年に発表されたGT2規格には、現在5つのマニュファクチャラーが参入している。
将来の“保険”計画の一環として、2024年のスパ24時間レースにおいて、必要に応じGT2クラスを導入することに「心配はない」としている。
「もし(ル・マン/WECが)GT3プロに向かうのであれば、GT3がGTEにとって代わり、GT2はGT3にとって代わる」とラテルは説明している。
「とりあえず聞いたところによれば、(ル・マンは)プロ/アマ向けになるという。いいだろう。GT3は進化することができる。(彼らは)『GT3規則をベースとした』と言っている。“ベース”とは何だ? まだ多くのものが不確実だ」
「私はル・マンと良い対話をしている。我々は手に手を取って仕事をしていると思う。我々が顔を突き合わせるなんて、かつては考えられなかったことだ」
■SROからのGT3 BoPの提供については「時期尚早」
FIAとACOが2024年のGTルールの転換を発表した2021年のル・マン24時間の現場にいたラテルは、単に共存していくだけでなく、3者間での『コラボレーションの精神』を楽しみにしているという。
正式な合意はないものの、何らかの方法でSROがこのカテゴリーに「控えめに貢献する」ことに関心があると、ラテルは述べている。
「すべては可能だ。もし誰かが私にDTMに近づいてくれと頼んだら? それはあり得ない。だが、それがACOならイエスだ。なぜか? 我々は“同じ世界”からやってきたからだ」
「(1台あたり)ひとりのドライバーというDTMのようなことを実行するなら、私の考えでは、それは私が完全にフォローするような何かではない」
「だが、ル・マンはGTEとGT3でどんなことをしているだろうか。それならいい。我々が互いに良くするのはいいことだし、我々が物事をうまく機能させる方法を見つけることができ、このカテゴリーを立ち上げて15年間世界中でプロモートしてきた経験を用いて控えめに貢献することができるなら、それは良いことだ」
SROがGT3のBoP(性能調整)システムを将来のル・マンのGTクラスに対して提供できるかどうかを訊ねられたラテルは、次のように答えている。
「いずれ分かる。いまそれを語るのは時期尚早だ」
「だが、確かにコラボレーションの精神はある。彼らはLMDhにおいてIMSAとパートナーシップを結んだことで、その種のパートナーシップのもとに仕事ができることを証明している」