先のピットインでコンウェイからロペスに替わった7号車は、スタートから2時間過ぎの段階でオーバーシュートがあり、ハートレーから中嶋一貴に交代した2番手8号車トヨタにギャップを8.2秒に縮められる。その後、この2台の差は約5秒にまで縮まったが、21号車オレカ07・ギブソン(ドラゴンスピードUSA)のタイヤ脱落によって出された今レース2度目のFCYの間に入った3度目のピットイン後には11秒に開く。また、アルピーヌはFCYの恩恵を受けることができず、2番手の8号車トヨタから約1分の後れを取ることになった。

 これ以降は3名のドライバーが2スティント毎に交代していく作戦をとった7号車が、1スティント毎に替えていく僚友に対してふたたびギャップを築いていく展開となり、レース残り2時間で迎えたルーティンピット作業で、8号車トヨタが左フロントタイヤの交換に手間取り、約16秒を失ったことで事実上の決着を迎えた。

 フィニッシュまで残り1時間を約45秒のリードを持って迎えた7号車トヨタは、可夢偉のドライブで安定したラップを刻み続け、日没後の現地17時過ぎに3戦連続のトップチェッカー。51秒遅れてチェッカーフラッグを受けた8号車トヨタとワン・ツー・フィニッシュを飾りTOYOTA GAZOO Racingに、2021年WECのチームタイトルをもたらしている。

 ドライバー選手権では、ランキングリーダーの7号車組が優勝でさらにポイントを伸ばし、8号車の3名に対するポイント差を戦前の9から15ポイントに拡げた。こちらのタイトルの決着は来週の第6戦バーレーン8時間レースに持ち越されたが、今戦3位となったアルピーヌのドライバーたちは、7号車クルーとの点差が40ポイントに拡がったためワールドチャンピオン・タイトルの獲得チャンスを失っている。

 同じくチャンピオンシップ争いが熾烈なLMP2クラスでは、前述のとおりレース序盤は29号車オレカ07がリードしたが、レースの3分の1を消化する前に31号車オレカ07・ギブソン(チームWRT)がトップに浮上する。劇的な結末を経て“ル・マンウイナー”となった彼らは盤石な走りで中盤から終盤にかけてリードを確かなものとし、最後は後続に1分以上の差をつけ連勝を果たした。

 クラス2位表彰台はポールスタートながらオープニングラップで8番手に落ち、そこから着実に順位を挽回した28号車オレカ07・ギブソン(JOTA)が獲得。3位には最終盤まで続いた22号車オレカとのバトルを制した38号車オレカ07(JOTA)が入っている。
 
 LMGTEプロクラスは、今週の走り始めから見られた“フェラーリ劣勢”の構図が決勝レースでも崩れず。序盤からリードを奪ったポルシェGTチームの92号車、91号車ポルシェ911 RSR-19が完璧に近いレース運びでワン・ツー・フィニッシュを達成。対するAFコルセは51号車フェラーリ488 GTE Evoがクラス3位、僚友52号車が4位となった。

 GTEアマクラスでは777号車アストンマーティンが序盤に首位を奪ったものの、その後は33号車(TFスポーツ)と98号車(アストンマーティン・レーシング)のアストンマーティン・バンテージAMR同士による首位争いが繰り広げられ、中盤以降はTFスポーツのバンテージAMRがトップを快走する。

 レース終盤には77号車ポルシェ911 RSR-19(デンプシー・プロトン・レーシング)と、56号車ポルシェ911 RSR-19(チーム・プロジェクト1)がアストンマーティンにチャージをかけるが、フェリペ・フラガ駆る33号車が5.5秒差で逃げ切ってみせた。追い上げをみせたポルシェ勢はクラス2位、3位表彰台を獲得している。

 表彰台も期待されたDステーション・レーシングは、ピットガレージでの修復を要するアクシデントもあって順位を下げクラス11位完走に。木村武史がスタートパートを担当した57号車フェラーリ488 GTE Evo(ケッセル・レーシング)は、グリッド最後尾から順位を4つ上げクラス9位でフィニッシュした。

 厳しい暑さのなかでの一戦を終えたWECは来週、同じくバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される第6戦バーレーン8時間レースで、2021年シーズンのフィナーレを迎える。

チームWRTの31号車オレカ07・ギブソン 2021年WRC第11戦スペイン
チームWRTの31号車オレカ07・ギブソン 2021年WRC第11戦スペイン
ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19 2021年WRC第11戦スペイン
ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19 2021年WRC第11戦スペイン
777号車アストンマーティン・バンテージAMRと33号車アストンマーティン・バンテージAMR 2021年WRC第11戦スペイン
777号車アストンマーティン・バンテージAMRと33号車アストンマーティン・バンテージAMR 2021年WRC第11戦スペイン
チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19 2021年WEC第5戦バーレーン6時間レース
チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19 2021年WEC第5戦バーレーン6時間レース
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo 2021年WEC第5戦バーレーン6時間レース
ケッセル・レーシングの57号車フェラーリ488 GTE Evo 2021年WEC第5戦バーレーン6時間レース

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