「今回、2021年のWEC最終戦バーレーンを前にしたところですが、これが僕にとって最後のWECでのレースになります。非常に残念にしてくださっている皆さんの声もいただいているので、非常に心苦しい面もあるのですが、最後のレースを笑顔で終われるように、優勝目指して最後まで頑張っていきたいと思いますので、最後まで応援していただければと思います。よろしくお願いします」
──来年以降、WECが盛り上がりそうなタイミングですが、なぜこの時期に引退を決められたのでしょうか?
「そうですね、どう説明したらいいかな……僕自身、レースドライバーとして、WECがこれから面白い時代になっていくとは思っているので、そのタイミングで離れることには残念な気持ちはもちろんありますが、トヨタのモータースポーツのなかで若いドライバーを育てていかなければいけない、ちょうどそういうタイミングであるということは理解しています」
「そういう意味では、大きな変革をするタイミングとしては(適切で)、(LMDh規定の採用によりライバルメーカーが増える)2023年からチームがより良い形で戦っていくためには、正しい決断なのかなと思っている部分もあるので……そういうことですね」
──ということは、中嶋選手から引退を申し出たわけではない?
「その辺は、お互いに相談して決めさせてもらったことだと理解してもらえれば、ありがたいです」
──10年間WECで戦ってきて、ここまでで一番思い出に残っているレースはどれでしょうか?
「やっぱり、2016年のル・マンじゃないですかね、ひとつ選べと言われたら。たぶん誰に聞いてもそうなっちゃうんだと思うんですけどね。2016年があったからこそ、2018年からはこういう風に勝つことを続けられるチームになれたんだと思っていますし、ちょうどアンソニー(・デビッドソン)が今週でレースから離れると発表していたこともあって、そういうこと含めても2016年が印象に残っているし、『2016年に一緒に勝てたらよかったな』という気持ちがあるので、余計にそう思います」
──(他カテゴリーを含めた)ドライバーを引退するわけではないと思いますので、来年以降はどうされたいのか? 決まってないとは思いますが、ご自身の要望は?
「やっぱりどういう形であれ、いままでこれだけレースキャリアを通してトヨタのなかで育ててもらってきて、こういう風に一緒に結果を出せるようになってきているので、やっぱりトヨタのモータースポーツの中で、自分にできることをやっていきたいというのが自分の希望です。来年以降、何をするかはまだ相談させてもらっている状況ではありますけど、その中で自分のベストと思える選択を、これからしていきたいなと思っています」
──走ることは続けたいという意思は持っていますか?
「もちろん、それはあります。ただ、自分にできることを考えたうえで、それも含めて総合的に考えていくことになるのかなと思っています」
■“相談”が始まったのは、2021年のル・マン後
