迎えた決勝レース、3時間で争われるエンデュランスカップでは通常、ひとりが約1時間のドライブを担当する。46号車ではミューラーが最初のスティントを担当。スタートから順調にラップを重ねると、57分後にピットに戻りロッシへとバトンをつないだ。
ロッシはデビュー戦ながら安定したペースを刻み、この日2度目のセーフティーカーが出るまでの約35分間、総合14番手で確実に周回を重ねた。しかし、スティント終盤に事件が起きる。ドライバー交代と給油、タイヤ交換のためピットに戻ったロッシだったが、混雑するピットロードで停止位置を見失いチームのピットボックス前を通過してしまう。
このミスによって46号車アウディはもう1周コースを走ってピットに戻ることになり、大幅にタイムを失ってしまうが、ロッシはGTWCヨーロッパ最初のスティントでの仕事を完遂しバービシュに後を託すことに成功した。フィニッシュドライバーを務めたバービシュは約1時間後、17位でチェッカーフラッグを受けている。
「とても良い週末だった。僕たちはよく働き、すべての瞬間を楽しんだよ」とGTWCデビュー戦を振り返ったロッシ。
「レースでは力強く、トップ10に入るくらいの結果を残すことができたかもしれないが、残念ながらピットストップでミスがあった。だけど、僕たちはそこから学ぶことができる」
「GTレースでは処理する情報などが非常に多い。僕にとっては、まだ多くの新しいことに対処しないといけない状況だ。これが“経験”と呼ばれるものだと思う」
全10戦で争われる今季のGTWCヨーロッパのひとつめのレースを終え、最初の経験を積んだロッシ。誰もが認めるレジェンドがこの先、さらに経験を積み重ねていきシーズンの終盤にどのような走りを見せてくれるのか楽しみなところだ。


