対するTOYOTA GAZOO Racingのテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは、今回のBoPの変更によってスパでの競争がより公平になると考えている。
「レースがより近くなるように修正があったのは確かだ」とバセロンは述べた。彼は続けて、LMHル・マン・ハイパーカーとアルピーヌが走らせるノンハイブリッドLMP1カーには“パフォーマンス・プロファイルの違い”があることを強調した。
オレカ製のアルピーヌA480は、グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)やトヨタGR010ハイブリッドよりもパワーで劣るが、より多くのダウンフォースを生み出すことができる。また、現在の952kgとい車重は、競合するLMH車の最低重量である1030kg(トヨタは1070kg)を下回っている。
これらの特性は、LMHプロトタイプがこれまでレースをしたことのないセブリングで、アルピーヌが最高のパフォーマンスを発揮するのに役立ったようだ。
「パフォーマンス・プロファイルは非常に異なるため、BoPを変更しなくてもトラックごとに異なる結果が得られるだろう。だから(調整は)難しいんだ」とバセロン。
「同じパフォーマンス・プロファイルのクルマを走らせると、コースレイアウトの違いによってすべてのクルマに同じような影響が出る」。
「しかし、アルピーヌとグリッケンハウス、そして我々の間ではそうではない。あるコースで完璧なバランスを保っていても、別のコースに行けばパフォーマンス・プロファイルが大きく異なるため、以前のレースとは異なる結果が生まれることになるんだ」
「これが、(セブリングで)あれほどの差が出た主な理由だと思う」。
アルピーヌは、セブリングでこの“不一致”をフルに活用し、レース全体でプッシュし続けた。なぜなら、純粋なスピード差によって生まれるマージンによって、燃料補給のためにライバルよりも多いピットタイムを克服できると考えたからだ。
燃料のマネジメントを優先した昨シーズンと状況は似ているが、アルピーヌはタイトル争いを維持するために、この状況を打開することができると確信している。
シノーは、「私たち毎日この差を縮め、(LMHの)レベルになるように努力している」と語り、「いくつかの改善策が見つかった」と付け加えた。