更新日: 2022.06.11 01:09
BoP変更後のアルピーヌの劇的なタイム向上に「物理学の再発明だ」とトヨタ技術首脳/ル・マン24時間
TGR-Eのテクニカル・ディレクター、パスカル・バセロンによると、ハイパーポール中のトヨタの2台は、理論的には近い位置にいた、という。
「2台は非常に接近したところにいた」とバセロンは振り返った。
「7号車はトラフィックが主な問題となった。可夢偉はトラフィックの面で、恵まれなかっった。アイデアル・ラップ(理論上のベストタイム)を見ると、2台はほとんど同じ、100分の2秒以内といったところだ」
「ブレンドンはトラフィックの面では少しラッキーだったが、実際には同じペースだったんだ。コンマ4秒差というのは、現実を反映していない。アイデアル・セクター(タイム)は同じだったから、2台(のポテンシャル)はぴたりと一致している」
一方、可夢偉のタイムに0.022秒差にまで迫る3番手でハイパーポールを終えたアルピーヌのラピエールは、セッション後に明るい表情を見せた。
アルピーヌのノンハイブリッドLMP1車両は、5日のテストデーでのマシンのストレートスピードにドライバーたちが懸念を示したのち、この日のハイパーポール前に行われたバランス・オブ・パフォーマンス(BoP=性能調整)の変更により、7kWの最大出力向上が許されていた。
「いいラップだった。燃料はあれ以上残っていなかったし、(LMP2クラスの)ユナイテッドのスリップ・ストリームもうまく使えたし、全体的に良かった」とラピエール。
「マシンから最大限のものを引き出せたから満足だ」
「先週の日曜日(テストデー)に比べればかなり改善されたし、BoP(の変更)も少しは助けになっている。全体としてトヨタ勢からそれほど離されていないのは、決勝に向けて素晴らしいニュースだね」
ラピエールがこの週末のアルピーヌのベストタイムを4.4秒縮めたのに対し、トヨタ8号車は2.7秒の短縮に留まった。
この、BoP変更後のアルピーヌの劇的なペースアップについて、バセロンはコメントしようとはしなかった。アルピーヌの結果に対して彼が発した言葉はただひとつ。
「我々は物理学を再発明したのだ」