大会を前に発表されたハイパーカーカテゴリーのBoPでは、トヨタGR010ハイブリッドの『190km/h以上』に対し、プジョー9X8では『150km/h以上』と、そのフロントハイブリッド・モーターからのデプロイメント・スピードが指定されている。
これは3月にACOが説明したように、両車のタイヤサイズの違いに起因するものだ。トヨタは今季からフロント12.5インチ幅、リヤに14インチ幅のタイヤを装着している。一方のプジョーは、前後ともに13インチ幅のミシュランタイヤを履く。
テクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンによれば、トヨタGAZOO Racingはグリッケンハウス007 LMHがモンツァでの「最速のマシン」になると予想しているという。
第2戦スパではポールポジションも奪っているグリッケンハウス007 LMHは、今回のBoPで13kWの出力アップを果たしており、その533kWという数字はこれまでのLMH車両における最大値となっている。
「レース(シーズン)が進むにつれ、グリッケンハウスはBoPの補正を受けていると思う」とバセロン。
「ここでは、明らかに、グリッケンハウスが最速のマシンであると予想している」
バセロンはまた、プジョーのデビューについて「トヨタが必要としているものだ」と付け加えている。
「シリーズにライバルを招き入れること、それが一番だ。これについては、喜びでしかない」
■将来を模索中のチームWRT
チームWRTは、LMDhプログラムにおける提携について、ランボルギーニとの協議を否定した。チーム代表のヴァンサン・ボッセによると、WRTはランボルギーニとLMDhプロジェクトについて「実際に接触したことはない」と語っている。
「ランボルギーニの発表内容を読めば、それがファクトリープログラムではなく、資金が必要であることは明らかだ。我々の場合は、それはあり得ない」とボッセ。
アウディのLMDhプログラムが中断されてしまったいま、ハイパーカーカテゴリーへの参入を目指すWRTは、2022年末までに契約を確保する必要がある、とボッセは付け加える。
「今後数週間のうちに、何かが決断されるだろう。GT3プログラムもあるし……すべてをやらなければならないのだ。ハイパーカーカテゴリーへの参入は、いまだチームとしての“目標”だ」