なお、シュテーリッヒは、水曜日に発表されたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)によってAFコルセのマシンがパワーアップしたことに、ポルシェが驚いたことを明かした。
彼によると、この変更はAIを用いて自動化されているBoPプロセスの範囲外で行われており、昨シーズンの最後から2番目のラウンドとなった第5戦バーレーンで行われた調整、通称“ブラックボール”と呼ばれるものであるという。
「GTEカテゴリーで確立されている純粋なオートBoPプロセスによれば、変更はないはずだからだ」とシュテーリッヒは言う。
「なぜなら、オートBoPは、BoPの変更やシーズンが始まるたびにBoPアルゴリズムは(手動で調整を行うル・マンを除く)2レース分待機し、この2レースで見たパフォーマンスによって反応するためだ」
「そして、その過程ではレースが適格であることが必要になる。開幕戦セブリングは雨が降ったが、その割合は低かった。80%か90%のドライレースだったと思う」
「一方、第2戦スパはまったく違っていて、雨が降ったり、ドライになったり、路面が湿った状態になったりして対象外だった。だから、本来であれば次の富士でオートBoPが発生するはずだった」
「いま起こっているのは、いわゆる“ブラックボール”のBoPの変更だ。つまり、ACOフランス西部自動車クラブとFIA国際自動車連盟は、差が大きすぎる、あるいは何らかの理由で各マシンのパフォーマンスを調整する必要があると判断したわけだ」
「その結果、フェラーリにはより多くのターボブーストが与えられ、我々にはより多くの燃料搭載量がもたらされることになった。したがって、オートBoPのプロセスはリセットされ、最初のオートBoPの変更は最終戦のバーレーンになることを意味する」

■フェラーリのブースト緩和は12~14馬力のパワーアップに相当
フェラーリのスポーツカーレース活動をまとめるアントネッロ・コレッタは、“ブラックボール“の変更がフェラーリに「戦うチャンスを与える」と語った。
コレッタは、2台のファクトリーカーへの変更は12~14馬力のパワーアップに相当すると指摘した。
「2022年の第1戦、第2戦、第3戦は、我々にとって非常に複雑なレースだったと思う」と彼は述べた。
「私たちはスパで勝った。しかし、それは雨が降ったからだ。ル・マンでは幸運にも2位と3位を獲得できたが、クルマの競争力は非常に低かった」
「今回のモンツァはBoPが変わったので、他のライバルと戦うチャンスがあることを期待している」
「”まず、戦うチャンスを得ることが重要だからだ。観客やファンにとってもいいことだ。セブリングやル・マンのように、ライバルがひとりもいないレースは、人々にとって面白いレースではないと思う」