更新日: 2022.07.12 12:04
『情報屋』平川亮。グリッケンハウスを襲った予兆なき「壊滅的」トラブル【WECモンツァ決勝後Topics】
LMGTEプロクラスでポールポジションを獲得し、レースをリードしたAFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoだったが、後半に入り、「ピットイン後、マシンのデータの提出がなかった」として5秒ストップのペナルティが科せられた。
これにより優勝を逃す結果となったが、原因はUSBメモリだった。ピットストップ後、マシンのデータを保存したこのストレージデバイスが、レースコントロールに転送されていなかったのだ。
勝利のチャンスを失ったにも関わらず、51号車のアレッサンドロ・ピーエル・グイディは第2戦を制したときよりも満足感を得ているという。
「スパでは勝ったが、自分たちにはペースもパフォーマンスもないことが分かっていたからね」とピエール・グイディ。
「この先を見れば、僕らには競争力があり、チャンピオンシップを戦うことができる状態だ」
モンツァで3位に入ったピエール・グイディとジェームス・カラドは、GTE世界選手権のポイントで今季初めてトップに立っている。ポルシェ91号車のジャンマリア・ブルーニが1点差、さらにポルシェ92号車のケビン・エストーレ/ミカエル・クリステンセンが2点差で迫っており、タイトル争いは混沌としてきている。
■ニック・タンディ、3人目の記録達成者となる
残り2周での大逆転という劇的な展開でモンツァ戦のLMGTEプロクラスを制したコルベット・レーシングは2019年のスパでドラゴンスピードがLMP2を制して以来となる、WECレギュラーシーズン戦で優勝したアメリカ籍チームとなった。
また、ニック・タンディはWEC史上3人目となる、3つの異なるクラスで勝利を挙げたドライバーとなった。これまで、この記録はブルーノ・セナとハリー・ティンクネルが達成している。タンディは2015年のル・マン24時間で総合優勝(LMP1)した後、翌月にはニュルブルクリンク戦にKCMGから出場し、LMP2のクラス優勝を遂げていた。
LMGTEプロクラスの91号車ポルシェ911 RSR-19では、新型コロナウイルスへの陽性反応によりリヒャルト・リエツが欠場、フレデリック・マコウィッキが代役を務めた。
スターティンググリッドでは「Get well soon!」とうメッセージの添えられたリエツのヘルメットが車両の上に置かれ、チームはリエツの早期回復を願った。
■新興チームがクラス3位を獲得
LMP2クラスではリアルチーム・バイ・WRTが優勝を飾ったが、姉妹車のWRT31号車はパンクと冷却水漏れというふたつのトラブルに見舞われ、タイトル防衛は絶望的な局面に立たされている。
ロビン・フラインスは「ペースは良かったし、僕らはもっとも速いマシンのひとつだった。だけど、水漏れが起きてしまい、数周分をガレージで過ごすことになってしまったんだ」と肩を落とした。
モンツァでクラス3位に入り、チーム初の表彰台に登壇したベクター・スポーツ。チーム代表のゲイリー・ホランドは、この表彰台獲得が「ACOが新チームである我々に示してくれた信頼の一部に報いる」ものであることを望んでいる、と語った。
「10年も前から参戦しているチームに対して、戦いを挑むことができたのはとても嬉しいことだ」とホランド。今季から参戦を開始したーチームは、第2戦での10位というベストリザルトを大きく上回った。