まとめ:Kazushi Nakano / autosport web

──誰が乗っているのかを把握しながら見ると面白そうですね。アマチュアドライバーにとって、富士スピードウェイは難しいコースなのでしょうか?

澤:他のWEC開催コースと比べれば、比較的タイム差は生まれづらいコースだと思います。それはセーフティゾーンが広くてリスクに対する難易度が低く、“攻められる”から。速い人なら、プロの1秒落ちくらいで走るんじゃないでしょうか。これが中高速でエスケープゾーンが少ないテクニカルコース、たとえばセブリングやスパ、日本で言ったら鈴鹿などに行くと、もっと大きな差が出ることになると思います。

──3年ぶりの開催ということもあり、富士を初めて走るドライバーもいるかと思います。慣れている人と慣れていない人で、コース上でもっとも差が出るのはどこでしょう?

澤:プロとアマの差が富士で一番出るのは、ダンロップコーナーです。とくにふたつ目(左)。ひとつ目の右を小さく回って、ふたつめ目から13コーナーまでを速く走るのが、うまい人です。慣れていないと、どうしても最初の右で大きく膨らんでしまい、次の左がきつくなる人が多い。あのひとつ目とふたつ目の間は、コースの真ん中に路面の“継ぎ目”があるんですよ。あれに右側のタイヤが乗っていたら、それはひとつ目が大きすぎ。左のタイヤが乗っていたら小さすぎ。ちょうどスロットカーみたいに、あの継ぎ目をセンターにして走れる人が、速いことが多いですね。

ダンロップコーナーは、路面の継ぎ目の真上を走るのが“正解”(写真は2022年スーパーフォーミュラ第6戦富士での大湯都史樹)
ダンロップコーナーは、路面の継ぎ目の真上を走るのが“正解”(写真は2022年スーパーフォーミュラ第6戦富士での大湯都史樹)

──さすが、細かい……。その後の最終セクションも難しそうですが。

澤:あそこはもう、みんなが難しいと知っているので、逆にあまり差が出ないんですよ。もっとマニアックに差が出るところを挙げるなら、1コーナー(TGRコーナー)のブレーキングですね。

──たしかに約1.5kmの直線を走ってきて、最高速からのブレーキのタイミングは難しそうです。

澤:それもそうなのですが、僕が見るのは進入のラインです。富士のストレートって、ずっと直線ではなくて、最後はほんの少し左に折れてるんですよね。うまい人はあそこでコース幅いっぱいを使うように、きっちり一番左に寄ってブレーキングします。それをしないでストレートをまっすぐ走ってきたままアプローチすると、コーナリングが少し窮屈になってしまう。スポーツ走行を見ていても、この1コーナーのブレーキングでだいたい分かりますね。

──さらに細かい……。

澤:そういったこともかき集めて走ろうとしている人かどうか、が分かるわけです。WECのレベルになれば、レース中にはもうみんな気づいているかもしれませんが、フリープラクティスのタイミングでダンロップや1コーナーに行ってみると、そういった違いを目にできるかもしれませんね。

富士スピードウェイのホームストレートエンドは、少し左にキンクしている。
富士スピードウェイのホームストレートエンドは、少し左にキンクしている。

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