更新日: 2022.09.06 16:13
【2022WEC富士直前】ココだけは見逃せない。高橋二朗さんがオススメする初上陸のLMH、トヨタとプジョーやレースの見どころ
その可夢偉に関しては、今年からドライバーとチーム代表を兼務する立場となったが、今の可夢偉はトヨタチームのことだけでなくシリーズ全体のことも考えているほど幅広い視点で考えるようになったことを、高橋二朗さんが指摘する。
「リモート取材で、『フロントMGUの作動域が190km/h以上になったことについてどう考えていますか?』と聞いたところ、『チームとしてはそんなの予定してないところで作ったクルマですから』と言いながら、『WECの全体を考えたときには、それくらいのことがなかったら面白さが出ないですよね』ってことを言うのですよ。大人だなあと思いました」
「さらに、フェラーリのハイパーカーやポルシェやキャデラック、その他にも多くのLMDhマシンが出てくる来年に向けて、『ある程度のハンデをつけておかないと(WEC全体として)ウェルカムじゃないでしょ』と言うわけですよ。もちろん、自分たちのBoPをもっと少なくしてもらいたいという気持ちはあるでしょうけど、自分のチームのことだけではなく、世界選手権の将来まで考えている人ってこれまでに日本のレース界でいないじゃないですか。ましてやドライバーと代表兼任でね」
そんな可夢偉の組織のリーダーとしての器の大きさに感嘆しつつ、コース上でのパフォーマンスについても、「チーム代表の立場ではあるけれども、戦い方としてチームオーダーはないはず」と見る高橋二朗さん。
開幕戦セブリングでは7号車がクラッシュ、第2戦スパ以降は毎回2台のクルマの片方にトラブルが発生して直接対決の機会は生まれていないが、富士では8号車と7号車の一騎打ちが実現した場合、どのようなバトル、そして決断になるのか、可夢偉チーム代表の富士での采配も楽しみなポイントだ。
■新たな挑戦者プジョー。富士での進化は
トヨタに続いて、富士での注目ポイントに挙がるのが、前回の第4戦モンツァでのWECデビュー前から強い関心が寄せられているプジョーの新型ハイパーカーで“リヤウイングレス”のプジョー9X8の登場。もちろん、高橋二朗さんもプジョー9X8の日本初走行を楽しみにしている。
「トヨタはもちろん、それに対抗する者たちとして一番のチャレンジャーはやっぱりプジョーですよね。リヤウイングが本当についてないのか、実際に見てやろうって思いますよね。実際、本当に付いてないみたいですけど(笑)」
「プジョー9X8については、今回のJ SPORTSの放送を見ていただければと思います。今回特別に、由良(拓也/レーシングカーデザイナー)さんが車両解説をするコーナーを設けているので、プジョー9X8のウイングレスの空力について分かると思います」
ついに実際にお目にかかれる現行WECでのトヨタとプジョーの戦い。前戦のモンツァで初めて大手自動車メーカーのハイパーカーが同じ土俵で戦ったが、高橋二朗さんはそのモンツァ戦の印象について、どんな印象を受けたのか。
「一発の速さやレースでの強さの部分では当然トヨタに分があったけど、プジョー陣営としては2戦目となる第5戦富士に向けて何かをやってくる可能性もありますよね。それこそ、日本のスーパーGTや全日本スーパーフォーミュラ選手権で活躍して富士スピードウェイをよく知るロイック・デュバルや、ジェームス・ロシターの存在が富士攻略にひと役買うのではないかと思っています」
トヨタ、プジョー、そしてアルピーヌなどのハイパーカークラスに、LMP2、LMGTEなどどのクラスでもクルマにドライバー、さまざまな視点でレースを楽しむ要素が抱負な今回のWEC富士6時間。実際の観戦でも、ライブ中継の映像でも、改めて高橋二朗さんにレースの楽しみ方を聞いてみた。
「これはWECに限らずどのレースもそうですが、ファンのみなさんには自分が気になる何かを中心に置いてレースを見てほしいなと思います。何もケアしないで見る方法もあるかもしれないけど、何かひとつ自分の中心をもって、速さであるとかラップタイムであるとか、そのあたりがどうなっていくのかを見ていくと観戦が組み立てやすくなります。ちょっとマニアックすぎますかね(笑)」
トヨタチームを含めWECを戦うクルマとドライバーたちが3年ぶりに日本やってくるということで、高橋二朗さん自身としても、「1982年のWEC in JAPANのような期待があります。あのときは初めてポルシェのCカーやランチアLC1が来て、仕事で行っているのに仕事そっちのけで歩いていましたからね(笑)。久しぶりに本物のル・マンカー、今年でいえばハイパーカーがやってくるのですごく楽しみにしています」
「それと、ポルシェが隠密に偵察に来ているとか、そういうことがないかなと期待しています。帽子を目深にかぶって、マスクとサングラスしたアンドレ(・ロッテラー)がパドックを歩いているとかね」
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今週末に開催が迫ったWEC第5戦富士6時間レース。ハイパーカーとLMP2、LMGTEのプロとアマの計4クラスから36台が出場予定となっている今戦は9月9日(金)にフリープラクティス1回目と2回目、10日(土)に3回目のプラクティスと予選、11日(日)の決勝日は11時に6時間レースのスタートが切られる予定だ。
レース中継はJ SPORTS/J SPORTSオンデマンドにて、日曜の決勝レースに加え、土曜の予選も14時30分から生中継の予定。詳しくはJ SPORTS公式サイト(https://www.jsports.co.jp/motor/wec/)まで。