序盤、2番手スタートだったアイアン・デイムス85号車フェラーリのサラ・ボビーがクラスポールからスタートしたTFスポーツの33号車アストンマーティンのベン・キーティングをパスして、トップへと浮上。2番手にはノースウエストAMRのデイビッド・ピタードが順位を上げてくる。
予選での違反により最後尾となっていたDステーション・レーシングの藤井誠暢は驚異的な追い上げを見せ、わずか6周目のうちにクラス4番手にまで浮上。さらに藤井は9周目にはキーティングもかわし、3番手に躍り出た。
ピタードと藤井は2台でボビーへと迫っていくと、17分が経過した11周目にともにボビーをパス。アストンマーティンのワン・ツーが体勢へと持ち込んだ。数周後、ピタードがダンロップコーナーへのブレーキングでミスを犯した隙に、藤井がトップへと浮上。クラス最後尾スタートから首位へと躍り出る格好となった。
トップの藤井は1時間2分が経過したところでピットへ。星野敏へと交代する。全車が1回目のピットを終えると、首位はポール・ダラ・ラナへと代わった98号車、2番手に星野、3番手に2スティント連続走行に入ったキーティングと、アストンマーティンがトップ3を占める形となる。
1時間19分、星野はダラ・ラナに迫ると、TGRコーナーでアウトから鮮やかにオーバーテイクを決め、首位の座を奪い返す。さらにキーティングもダラ・ラナをパスし、2番手へとポジションアップを果たした。
チーム・プロジェクト1の56号車ポルシェでスタートドライバーを務めた木村武史が2スティント連続走行を行い、2スティント目にはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェのクリスチャン・リードをパスするなど、初のポルシェで躍動する。
2時間9分経過時点で、星野はピットへ。各車が2回目のピットを終えると、エンリック・シャベスへと交代したTFスポーツ33号車が首位に立ち、2スティント目に入った星野は2番手で周回を重ねることとなった。
この星野に85号車のラヘル・フレイと98号車のニッキー・ティームが迫ると、2時間56分経過時点のアドバン・コーナーでフレイが星野のインへと飛び込み、接触しながらパス。続いてティームも星野をかわし、Dステーションの777号車はクラス4番手へと後退することとなった。
2時間以上ドライブした星野から、チャーリー・ファグへと交代すると、AFコルセ54号車にパスされるなどした777号車は6番手へと後退。しかしその後はポジションを上げていき、残り1時間を迎える時点では表彰台圏内の3番手につける。
残り32分、トップを走っていたTFスポーツのマルコ・ソーレンセンがピットイン。続いて3番手のDステーション・ファグも最後のピットへと向かう。ファグがピットアウトすると、背後に迫ったAFコルセ54号車フェラーリのダビデ・リゴンのプレッシャーを受ける形となった。
暫定トップに立ったアイアン・デイムスのミシェル・ガッティンは、残り25分で最後のピットへ。フレイへとドライバーチェンジすると、2番手でコースへ復帰。Dステーションは3番手のポジションをキープする。
最後はこの順位のまま、TFスポーツ33号車(キーティング/シャベス/ソーレンセン)がトップフィニッシュ。2位にアイアン・デイムス85号車が入り、Dステーションは3位で今季初の表彰台を獲得することとなった。
2022年シーズンのWECはこれで5レースを終了。最終戦となる第6戦バーレーン8時間レースは、11月12日に行われる。


