LMP2クラスで優勝を遂げたWRT31号車オレカのロビン・フラインスは、レース後半には無線が故障し、一方通行の通信しかできなかったことを明らかにした。
フラインスはエンジニアの声を聞くことができたが、エンジニアはドライバーの声を聞くことができなかったという。
WRTはフラインスに司令や重要な情報が伝わっているものと、信頼していた。
「38号車(JOTA)が、ピットをかなり遅らせているという情報は常に入ってきていたよ」とフラインス。
「レースが始まってから、彼らは1スティントを延ばそうとしてきたんだ。だから(JOTAが最終スプラッシュした後の)最後のラップでは、彼らの前に確実に出ようと僕は激しくプッシュしていたんだ」

LMP2クラスの優勝は逃したものの、JOTAドライバーのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ/ウィル・スティーブンス/ロベルト・ゴンザレスは、28ポイントの大きなチャンピオンシップリードを築いて富士を後にした。
もし、バーレーン8時間レースでランキング2位のユナイテッド・オートスポーツUSA23号車が最大得点を獲得しても、JOTAのクルーは6位以上に入ればタイトルを獲得することができる。
■ユナイテッドASは暑さに弱い?
ニック・タンディは、富士はコルベット・レーシングにとって「最も競争力のない」レースだったと振り返った。
「金曜日の朝から、本当に苦戦しているんだ。このコースの特性と路面が、僕らのクルマに合っていないんだと思う」
また、フィル・ハンソンによれば、ユナイテッド・オートスポーツは高温のコンディションでグッドイヤー・タイヤの性能を引き出すのに苦労していていたという。LMP2クラスに2台をエントリーさせる同チームは、クラス5位と7位に終わった。
ハンソンは、金曜日の涼しいコースではユナイテッドが速かったと指摘する。
「傾向として、涼しいところでは強く、暑いところでは弱くなる。レースでは、最初の6~8スティントで、充分な速さがなかったんだ」

■最初はミディアムタイヤに苦戦したベン・キーティング
コンパウンドの違いによって、時間帯やコーナーごとに得意・不得意が生じるため、富士でのタイヤ戦略は重要だった。GTEアマクラスのウイナー、TFスポーツ33号車アストンマーティンのベン・キーティングは、ミシュランがタイヤを供給するこのクラスのレースが、どのように影響されたかを説明してくれた。
「僕らは、より安定した走りができるミディアムタイヤを選択した。だけど、最初のうちは速くなかったんだ。僕のスタートはすごく良かったんだけど、3周か4周後にサラ(・ボビー)が僕をかわして飛ばしていったんだ。
「そして1時間目の終わりになると、彼女は徐々に落ちてきた。彼女はソフトタイヤを履いていたんだ」
キーティングとマルコ・ソーレンセンは、TFスポーツのELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズのシャシーでエンリケ・シャベスとともに富士で勝利したことで、GTEアマのランキングにおけるリードを20ポイントに拡大した。
最終戦では、ノースウエストAMRのデイビッド・ピタード/ニッキ・ティーム/ポール・ダラ・ラナが彼らのライバルとなる。デンプシー・プロトンの77号車ポルシェがリタイアしたことで、アストンマーティン勢が今季のタイトルを獲得することは確実となった。

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次戦、最終戦となる第6戦バーレーン8時間レースは、11月10〜12日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される。ロジスティクス上の制約により富士戦を欠場したLMP2のARCブラティスラバは、富士戦翌日の月曜日に、バーレーン戦での復帰を正式表明している。
