NM:今季、(アウディのLMDhプロジェクトの一環として)初めてル・マン24時間レースへLMP2をドライブして参戦したんだけれど、チームメイトのひとりがセバスチャン・ブルデーだった。残念ながら僕らのマシン(ベクター・スポーツ10号車)はピットに留まっていることが多かったんだけれど、ル・マンの経験豊富な先輩ドライバーのセバスチャンが、僕の走りについてかなり高評価をしてくれたことも、プジョー入りに大きく結びついたひとつだった。
今年のル・マンに来ていたプジョー関係者も僕の走りを陰ながらチェックをしていてくれたらしく、その後プジョー幹部らからミーティングに招待され、長い時間をかけてその日はお互いを理解する機会に恵まれた。それからも少しずつ時間をかけて、今後どのように一緒に仕事ができるだろうか、と数多く話し合いを重ねてきた。
僕のプロレーシングドライバーとしての目標と新しい章は、プジョーとだったら成し遂げられるのではないか、そう確信したので思い切って移籍することにしたんだ。
──初参戦だった今年のル・マン24時間レースはいかがでしたか?
NM:コースレイアウトは唯一無二だし、レーシングドライバーならば誰もが憧れ、目標とする伝統的な世界最高峰の24時間レースに参戦することは、この上ない光栄だった。今年のLMP2クラスからの参戦はアウディLMDhへ向けての経験を積むための参戦ではあったけど、実戦を通して数多くのことを学べたし、何がなんでもトップカテゴリーで戦いたいと強く思った。
マシントラブルなどで、かなり長い時間をピットで過ごすことになったものの、その短い時間内でマシンのパフォーマンスを最大限に引き出すことができたし、実質的にはプジョーのシートをつかむきっかけのひとつになった。
100周年大会という歴史的なレースにプジョーの一員として、あのル・マンのスターティンググリッドに立てる日をいまから待ち遠しく思っているし、目標はもちろん総合優勝だ。僕のレーシングドライバーとしての次の目標を達成するために、努力は惜しまない。

──すでにプジョー9X8には乗りましたか?
NM:まだ乗っていないが、これからシート合わせをしたり、じっくりマシンのことを学べるのを楽しみにしている。
──プジョーではあなたの旧知のDTMドライバーのロイック・デュバル、ポール・ディ・レスタがいますね。
NM:ロイックはアウディで長く一緒にやってきているので良く知っているし、互いの移籍先も同じなので嬉しい。すでにロイックはマシンをドライブしていることもあり、いろいろとレクチャーしてくれている。ポールは同じくDTMでずっと一緒だったし、顔見知りではあるけれど実はほとんど話したこともないし、良く知らないんだ。プジョーでチームメイトとなったので、今後ちゃんとお互いを知ることを楽しみにしているよ。
──9月に久々に富士で開催されたWECでは、プジョーのマシンは大きく話題に上がり、関係者やファンが新たなマシンの登場を喜びました。
NM:とくにプジョーのハイパーカーのデザインは一種独特で、他のマシンとは違って目を引くね。日本の多くのファンが興味を示してくれてとても嬉しいし、来年には僕もプジョーの一員として富士へ行けることをとても楽しみにしている。2023年、2024年には一気にハイパーカークラスが賑わうので、ハイレベルな戦いが待ち遠しくて仕方がないよ。
