フェラーリ499Pがハイパーカー規定を選んだ“必然”。バッテリーにはF1の技術も【発表会現地情報】
いっぽうで、トヨタは2021年よりLMHで参戦。プジョーも今季より実戦を通じてマシンの熟成に努めている。そうしたライバルに比べると、フェラーリの開発は遅れをとっているともいえるだろう。
「ライバルのことは最大限リスペクトしています。多くの経験を備えたメーカーが有利であることは間違いないでしょう」
そうはいいつつ、フェラーリとしてもみすみす負け戦に臨むつもりはない。
「ライバルよりも短い期間で開発を行ないましたが、極めて速いスピードで前進しています。私たちは正しい方向に進んでいると確信しています」
7月6日にフィオラノでシェイクダウンを行なって以来、499Pはモンツァやポルティマオでテストを実施。走行距離は1万2000kmに達したという。
「これは極めて優れた成果です。私たちはテストを行ない、問題点を解決し、改めてテストを実施してきました。私たちには自信があります。マラネロの技術者たちは、驚くべき仕事をたくさんこなしてくれたと考えています」
来季の参戦体制はどのようになるのか?
「ワークスチームが2台の499Pを走らせることになります。プライベートチームからも、マシン供給に関して多くの問い合わせが届いていますが、2023年はワークス参戦に集中し、その結果を待って、今後の方針を決めるつもりです。ワークスチームはフェラーリとAFコルセによって構成されます。ドライバーは未発表ですが、GTレースを戦ってきたフェラーリ・ファミリーのなかから選ぶことになります」
北米IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権GTPクラスへの参戦についてはどうか?
「現時点では、私たちはWECに集中しています。将来については改めて検討するつもりです。それについて考える時間は、充分にあります」
来季の戦いについて、コレッタはこんな見通しを語ってくれた。
「2023年も多くのコンペティターが参戦します。2024年には、コンペティターの数がさらに増えるでしょう。しかし、そのうちの少なくない数のメーカーが、信頼性の問題に苦しむかもしれません。2024年は驚くべきシーズンになるはずです。いずれにせよ、私たちは2023年に向けて全力で準備を進めているところです」
499Pのデビュー戦は2023年WEC開幕戦のセブリング。半世紀ぶりにルマンの総合優勝を目指すフェラーリの健闘を祈りたい。