51号車フェラーリ488 GTE Evoと92号車ポルシェ911 RSR-19のドライバーズタイトル争い、そしてフェラーリとポルシェのマニュファクチャラーズタイトル争いだけでなく、クラス自体が今季で終焉を迎えることで、一層の注目を集めたLMGTEプロクラス。
ポールポジションのポルシェ91号車はジャンマリア・ブルーニ、フェラーリ52号車はアントニオ・フォコ、ポルシェ92号車はケビン・エストーレ、フェラーリ51号車はジェームス・カラドがスタートを担当した。
92号車エストーレはスタートで一気にクラス首位を奪い、52号車、91号車、51号車と続く展開となる。
序盤のうちに2番手争いが白熱。91号車が52号車に並びかけ、サイド・バイ・サイドから軽く接触する場面も。ここで91号車が先行し、開始15分にしてポルシェがワン・ツー体制を築き上げた。
しかし52号車のフォコは、91号車ブルーニのテールに食らいつき、テール・トゥ・ノーズの状態に。36分経過時点の最終コーナーでフォコはポルシェのインに飛び込み、2番手を奪い返した。
さらにフォコはクラストップを行く92号車とのギャップも詰め、50分経過を前にしたターン8でインに飛び込むと、クラス首位に立った。
1時間を経過するところで91号車と51号車の3番手争いも抜きつ抜かれつの展開に。このあと、このクラスで最初のピット作業を最も遅らせていた51号車と5番手を走行していたコルベット・レーシング64号車シボレー・コルベットC8.Rは、ピット作業とFCYのタイミングが重なり、一気にトップと2番手に立つという、大きなゲインを得ることとなった。92号車はここでのアンラッキーで3番手へと転落することとなった。
さらにこの92号車に52号車のフォコが襲い掛かり、3番手を奪取。タイトルを狙う92号車は4番手にまで転落してしまう。ポルシェはレースペースが苦しいようだ。
2時間経過時点のFCYのタイミングで、コルベット64号車、フェラーリ52号車、ポルシェ91号車がピットへ。このピットアウト後、ミゲル・モリーナへと代わった52号車が92号車をパスして再び3番手を奪い返すと、さらに64号車に迫り、日没直前の2時間40分経過時点でコルベットをオーバーテイク。フェラーリが51号車、52号車の順でワン・ツーを形成することとなった。
その後もフェラーリは3時間にわたりこの順位をキープしていたが、6時間経過を目前に順位を入れ替え、52号車がクラストップを走行することになった。この時点でフェラーリの2台は、3番手にコルベットを挟み、4&5番手のポルシェ2台に対しては1分以上のマージンを築いていた。
しかし2番手に後退した51号車のカラドからは、マシンの不調を訴える無線が入り、AFコルセのピットに緊張が走る。10秒近くラップタイムを落としたカラドは6時間23分、コルベット64号車に抜かれて3番手へ後退。直後にピットへと向かうが、ここではピエール・グイディへと交代し、ルーティンの作業のみでコースへと復帰した。
ギヤボックスにトラブルを抱えているとみられる51号車はピットアウト後もペースが上がらず、4番手に。さらにタイトルを争う92号車にも背後から迫られ、6時間40分経過時点でパスされると、クラス最下位となる5番手にまで転落する。51号車はタイトル防衛のため、完走を目指すこととなった。
この時点でクラストップはフェラーリ52号車、2番手にコルベット64号車。3番手にポルシェ91号車、4番手に92号車というオーダー。ポルシェ91号車は最終ラップに入るところでピットインして給油を行い、これにより92号車を3位に押し上げることになったがタイトルには届かなかった。
クラス優勝はフェラーリ52号車。大きくラップタイムを落としながらもクラス5位でチェッカーを受けた51号車のピエール・グイディとカラドがドライバーズタイトルを、そしてフェラーリがマニュファクチャラーズタイトルを手にし、LMGTEプロクラス最後のレースを締め括った。


■LMGTEアマ:チーム・プロジェクト1がワン・ツー
ポールポジションのアイアン・デイムス85号車フェラーリはサラ・ボビーがスタートドライバーを務めたが、開始22分というところでスピリット・オブ・レースの71号車フェラーリが先行する。その後はAFコルセの54号車フェラーリがトップに立ち、レース序盤を支配した。
レース中盤からは再びアイアン・デイムスが首位に立ってレースを進めた。さらに終盤になると、マッテオ・カイローリが飛ばすチーム・プロジェクト1の46号車ポルシェが、アイアン・デイムスを捕らえてトップに。
そして残り10分、56号車がアイアン・デイムスをパスして2番手に浮上。最終的には、チーム・プロジェクト1のワン・ツーとなった。
タイトルはTFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMRのベン・キーティングとマルコ・ソーレンセンが手にした。
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティンは今回は藤井誠暢ではなく、星野敏がスタートドライバーを務めた。チャーリー・ファグ、藤井、ファグとつなぎ、最終的にはクラス10位でフィニッシュしている。


2022年シーズンのWECはこれで全6戦を終了。13日(日)には、シーズンを締めくくる『ルーキーテスト』がバーレーンで行われる。2023年シーズンについては、3月にアメリカのセブリング・インターナショナル・レースウェイで開幕する、全7戦のスケジュールが発表されている。